作家のエージェントって何? 『ドラゴン桜』『宇宙兄弟』の編集者に聞くこれからの働き方、新時代のリーダー(前編)(5/6 ページ)

» 2013年10月30日 08時10分 公開
[土肥義則,Business Media 誠]

読み継がれていくシステム

佐渡島さんが編集を手掛けた『宇宙兄弟

土肥:佐渡島さんは別のインタビューで「作品がずっと読み継がれていくシステムをつくっていきたい」と話されています。これはどういう意味でしょうか。

佐渡島:出版社の場合、作品を雑誌に掲載して、単行本にして終わり。10年後、20年後まで作品を売り続けるシステムがないんですよ。多くの人は「昔の本は売れないよ」と思われるでしょう。でも手塚治虫さんの作品は、いまでも売れ続けている。なぜか? 

 もちろん作品が面白いということが前提にありますが、プロダクションが付いていることも大きい。大手出版社が「もう○○という作品の本は出さない」と判断しても、小さな出版社は「出したい」と思うかもしれません。そうした売り方をしていれば、10年後、20年後でも売り続けることができるんですよね。

 あと国内だけではなく、海外に展開することも大切になってくるのではないでしょうか。

土肥:「日本のアニメが海外でウケている」といったことを耳にすることがありますが、本当にそうなのでしょうか。例えば、米国の書店に行っても、日本の漫画を目にすることはほとんどありません。日本には面白い漫画がたくさんあるのに、なぜ海外では売れないのでしょうか。

佐渡島:「この漫画は面白い。だから海外で売れる」と思っていても、仕組みが整っていないと、なかなか売れません。漫画の場合、巻数が多いですよね。日本では書店員さんがこまめに注文してくれているので、“歯抜け状態”にならずに本が並んでいる。

 一方の米国は書店数が少なく、散らばっています。本は買い切りだったり、委託だったり、いろんな販売制度があるんですよ。また書店員が漫画を読む習慣がないので、本が“歯抜け状態”になる。つまり、全巻そろっていないと読者は困る……ということを知らないんですよね。

土肥:ということは、米国の漫画はどの巻からでも読める?

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