繊細で神経質な人ほど、一流になれる勝者のための鉄則55(1/2 ページ)

» 2013年11月04日 08時00分 公開
[張本勲,Business Media 誠]

集中連載「勝者のための鉄則55」について

 本連載は張本勲著、書籍『プロフェッショナル 勝者のための鉄則55』(日之出出版)から一部抜粋、編集しています。

プロ野球の世界で「一流」と呼ばれるのは、「自分の本当の素質」を追究し、その素質に“正しい方法"で磨きをかけた選手たちを指します。「それは一般社会でも同じだ」と、著者は語ります。

ではどうしたら、「自分の素質」に気付き開花させることができるのか、真のプロフェッショナルとして認められるのか。

王貞治氏、長嶋茂雄氏の「ON」と肩を並べる球界の重鎮が、すべてのビジネスパーソンとプロ野球ファンへ向けて、「ハリモト流☆成功思考、行動、ハウツー」を、熱いメッセージとして贈る一冊です。


一流の選手は気が小さく、繊細で臆病

 打者なら通算で2000安打以上、投手は200勝以上、あるいは250セーブ以上を達成した選手だけが入会資格を持つ「日本プロ野球名球会」。いわば一流中の一流が集う「名球会」のメンバーやトップクラスの選手を見ていると、精神的に共通のものがあることに気付く。

 意外に思われるかもしれないが、私も含めて、みんな気が小さいのだ。気が小さく、繊細で臆病だ。金田さんだって、長嶋さんだって落合さんだって、みんなそう。神経が細かくて、相手が怖い。「打てないんじゃないか」「抑えられないんじゃないか」と、もう内心はビクビク。だから、毎日コツコツと練習する。練習しないと気が済まないのだ。必死になって練習して「俺はここまで練習しているんだから」と弱い気持ちを奮い立たせ、いい意味で開き直る。遊びほうけて開き直るのは良くないが、練習を積み重ねて開き直ることは必要だ。もちろん打てないときもあるだろう。それでも、「必ず打てる」「そのために徹底的にバットを振るんだ」と、自分に暗示をかける。「俺はこれだけやっているんだから、打てる!」と。そうやって、みんなトップクラスの選手になっていったのだ。

 私は現役時代、いつもこう思っていた。4打数3安打したとする。例えば、そのうち2本がホームランだったとする。打率、ホームラン、打点が上がるから、打者としては大成功の日だ。だが私は、そんなときでも、たまたまと考える。「相手の調子が悪くて、今日はたまたま打てた。でも明日、相手チームのエースが出てきたら打てないかもしれない」。だから、そんな日は自宅に戻ってから余計にバットを振った。毎日300本の素振りを、350本に増やした。

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