一方で、大手就活サイトも新しい動きを始めています。先週のこのコラムの中で、リクナビが始めた「OpenES(参照リンク)」というサービスについて少し触れました。Twitterなどの反応を見ていると「そんなものが登場しているのか!」と驚いている人もいました。そう、そういう時代なのです。一方の就活サイトの雄であるマイナビも「就活最強テンプレート(参照リンク)」なるツールを用意して就活生へのサポートを万全にし、自社のサービスを活用してもらおうと躍起になっています。
これらのサービスに共通している点は「効率」という言葉。OpenESのサイトには、このサービスを利用することで「効率的にエントリーシートの作成を進めよう!」と書かれていますし、就活最強テンプレートを紹介するマイナビのフェイスブックページにも、やはり「ダウンロードして効率よく就活!」という文字が踊っています。とにかく、就活を効率よくできるようにしたい、という思惑が全面に出ていて「考えることは、どちらも同じなのだな」と、私はパソコンの画面を見ながら、ため息まじりに笑ってしまいました。
確かに、新卒一括採用という仕組みの中で、就活生にかかる負担は毎年大きくなりすぎていました。エントリーシートの提出時期になると、深夜の大手郵便局のロビーでエントリーシートを書いている就活生をよく見かけました。期日ギリギリになって、提出日の消印有効というレギュレーションを守るためにその場で書き上げて消印を押してもらうために、寒い中頑張っていた(まったくの余談ですが、そういうシーンで一度も男子学生を見たことがないのは、気のせいでしょうか)のです。
しかし、それほど過酷な状態で就活をしていたら、物理的な限界がやってきます。就活生の活動量が一定に収束していくのは、当然のことでしょう。視野を広げろと口を酸っぱくして言われたとしても、活動できる量に限りがあるのだから、これ以上企業を見ることは難しくなっていたのです。ただ、そうなってしまうと、企業は困ってしまいます。シンプルに考えれば分かると思うのですが、就活生の活動量が限界値に達してしまったときに、自社に目が向かないと、自社への応募学生は減ってしまうのですから。そうでなくても、イマドキの賢い学生たちは自分たちで就活をコントロールし、頑張るときは頑張る、休むときは休むと、自分たちなりにメリハリをつけています。これ以上、活動の量が減ってしまっては、大変なことになるのです。そう、就活の効率化は就活生のためというよりも、企業にとって「必要な打ち手」だったことは、想像に難くありません。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
Special
PR注目記事ランキング