「インフラ友達」がいますか? おひとりさま時代を生き抜くための友人関係博報堂・吉川昌孝のデータで読み解く日本人(4/4 ページ)

» 2013年12月06日 06時20分 公開
[吉川昌孝,Business Media 誠]
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「インフラ友達」が生みだすこれからの社会

 こうした人間関係の編み直しは、人々の新しい欲求と行動を生み出し、それを満たす商品・サービスの開発や社会制度の整備を進めるでしょう。関係の再構築には新しいビジネスのヒントがたくさんつまっているのです。

 まずは社会制度に目を向けると、「インフラ友達」関係への欲求を生かした施策整備が進みそうです。「友人減税」や「複数人登録」など、これまで血縁中心に整備されてきた制度が、友人関係でも可能になっていきます。相続や介護にもこうした考え方が波及する可能性はあるでしょう。それは太古以来「家族」を中心に生存のバトンを受け渡してきた人類が、それに代わる全く新しい人間関係の作り方を生みだすことなのです。

 そして商品は今まで以上に友達のような存在に近づいていくでしょう。例えば、「プロダクトアニメイテッド」。人格が付与されたり、生物をモチーフにデザインされた商品のことです。彼らは「インフラ友達」的な存在として、ユーザーから愛され、話しかけられたり、ニックネームを勝手につけられるでしょう。さらに、製品番号でなく、生活者がつけたニックネームで企業にも登録。故障や問い合わせの際には、名前を伝えれば、すぐにアフターサービスが受けられるようになるかもしれません。

 また、サービスを提供する人の評価基準も変わるでしょう。これまでは販売実績やホスピタリティといったものさしでランク付けされていましたが、その最高位が「友達」になるかもしれません。顧客と接する人はすべからくその人の「インフラ友達」になることが最終ゴールという発想です。そうした考えをベースにすれば、サービストレーニングプログラムは変わってくるでしょうし、お客さまと接する現場でも、新しいサービスが続々と生まれてきそうです。

 年末年始、帰省して昔の友達に会う機会も増えるでしょう。年賀状のやり取りで古い友人を久しぶりに思い出すかもしれません。日頃会っている頻度や付き合いの深さとは関係なく、「この人は自分にとってどんな役割/機能を果たしてくれるのだろうか」「逆に自分はどんな役割/機能を果たせるのだろうか」と考えてみてください。そして、数年ぶりに飲みに行く約束を交わすのもいいでしょう。経済では明るい兆しが見え始めるものの、まだまだ何が起きるかわからない世の中。あなたの生活を支えてくれる友達の存在に新たに気づくかもしれません。では、少し早いですがよいお年を。

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