倒産寸前だった「LEGO」が世界2位のおもちゃ会社に返り咲いた理由伊吹太歩の時事日想(2/4 ページ)

» 2013年12月12日 08時00分 公開
[伊吹太歩,Business Media 誠]

中国で「教育用LEGO」が爆発的に売れた

 2013年上半期に、LEGOの売り上げが上昇した大きな理由の1つには、中国の存在があった。中国での売り上げは実に70%も伸びた。いつバブルが崩壊してもおかしくないと言われ続けていながらも、中国はいまだに消費市場としての規模が大きい。おもちゃ販売でも現在、世界で2番目に大きな市場だ。

 ちなみにアジア太平洋地域は、2014年には北米地域を抜いて、世界最大のおもちゃ市場になると予測されており、世界のおもちゃメーカーはアジアを制するために力を入れている。

 LEGOが中国で成功したのには「教育版LEGO」の存在が大きい。中国では徹底した暗記など詰め込み型の教育が行われ、そこから自主性や創造性は生まれにくいといわれている。そこに自主性と想像力を付けてくれるLEGOの教育ツールがしっくりハマった。中国では、過去5年でLEGOの教育関連おもちゃの売り上げが倍以上になっている。

 ではその教育ツールとはどんなものか。「教育版LEGO」と言われる「マインドストーム」というおもちゃ教材だ。

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 マインドストームは、LEGOと米MIT(マサチューセッツ工科大学)の研究から生まれたロボット教材だ。LEGOによれば「アナログのレゴブロックとコンピュータを内蔵したデジタルのパーツがセットになり、生徒たちの主体的な学びを育成する21世紀型の教育ツール」ということらしい。

 PCにつなげてプログラミングをしながら、LEGOでできたロボットを組み立てていく。1人でもチームでもいろいろと思考を巡らせながら完成を目指す。といっても、プログラムアイコンをドラッグ&ドロップするだけでプログラミングできるなど、10歳の子供でも扱えるように設計されており、子供の自主的な学習能力を育てるのにも役立つ。

 現在、日本を含む世界中で小学校から高校の間で導入が広がり、過去15年で世界60カ国の5万以上の教育現場で導入された。日本でも小中学校はもちろんのこと、東京大学や京都大学、明治大学など6000校で採用されているというのだから、かなりいろいろなところで使われているといえる。

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