「上野東京ライン」成功のカギは、品川駅が握っている杉山淳一の時事日想(3/5 ページ)

» 2013年12月13日 08時00分 公開
[杉山淳一,Business Media 誠]

 常磐線のほうが到着本数が多いため、少しでも多く東京駅へ直通させたい。しかし通勤時間帯は難しい。その理由の1つは上野駅の線路配置にある。常磐線と宇都宮・高崎線は複線が平行しているため、合流にあたってお互いの列車が干渉する。これを解消するには、上野駅北側の分岐器も改良する必要がある。

「上野東京ライン」の線路配置図。右側の上野駅に注目。常磐線の東京発上野行きは宇都宮・高崎線の東京行きの線路をふさぐ。宇都宮・高崎線の東京行きは、常磐線の東京発上野行き線路をふさぐ(出典:JR東日本)

 理由の2つ目は、常磐線中距離電車のコストが高いことだ。常磐線は取手駅から北が交流区間のため、都心部の直流区間と交流区間の両方に対応する電車が必要だ。もっとも、現在は直流電車も電流を変換して交流モーターで走っているから、コストの差は小さいかもしれない。それにしても、常磐線中距離電車のみが特別仕様では、他の路線と使い回しが面倒だ。常磐線からの東京駅乗り入れは、取手以南の快速電車に限定されそうだ。

 ただし、2002年のJR東日本の発表資料では、特急列車の東京―水戸間の到達時分は7分短縮と例を挙げている。常磐線の特急列車や通勤ライナーなどは乗り入れそうだ。

2002年の計画発表時は、常磐線特急列車の東京駅乗り入れを意識した資料となっていた(出典:JR東日本)

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.