岡田: ところで、最近のレクサスのプロモーション動画が話題になっています。たくさんの小型のロボットヘリコプターが街中を生き物のように飛び回るものです。でも、レクサスのクルマは、最後の1ショットだけ、それも2秒くらいしかでてきません。
河辺: 「Amazing in Motion - SWARM」ですね。非常に話題になっているようで、うれしく思っています。視聴されたみなさんの多くは「CGでしょ」とおっしゃるのですが、実際にたくさんのロボットを飛ばしています。撮影現場は本当に大変だったようですよ。こういうものを通じて、みなさんとレクサスのイメージがエモーショナル(感情)な部分でつながっていければと思っています。
岡田: では、あえてクルマを使った表現をしていない、そういう切り口は必要としていないということでしょうか?
河辺: そうですね。今、クルマそのものに対する興味を失っている人が増えていることは認識しています。だからこそ、これまでとは違うやり方で、人の心に刺さるものは何かということを考え続けています。
どんどん時代が進んでいくにつれて、「豊かな生活」というものへの着目点が変化してきました。10年前にターゲットとしたユーザーに対しては「プレミアム=ラグジュアリー」、「ラグジュアリー=ぜいたく」というメッセージが刺さりました。でも、もはや「上場したらみんなでシャンパンを飲んで乾杯だ」とか、「BMWは六本木のカローラだよね」とかいう時代ではなくなっています。
われわれが提供したいと思っているのは「まず心が豊かになって、そして物理的にも豊かになる」というライフスタイル。新たな価値観の入口となるものをたくさん提供して、その先にレクサスがあればいい。「その人にとって大切なもの」という価値観のジグゾーパズルがあるとすれば、その最後の1ピースにカチッとはまるものがレクサスでありたいとは思っていますけれども。
岡田: では最初の1ピースから「レクサスです」というあいさつは不要なのですか? せっかく注目を集めることをしているわけですから、それはそれでもったいない気持ちもしますが……。
河辺: うーん、そこは何というか「恋愛」と一緒ですよ(笑)。最初からガツガツいくと逃げられてしまうかもしれない。だからレクサスというブランドをそんなに前に出さなくてもいいのです。
でも、「Amazing in Motion - SWARM」で使われている4つのプロペラが付いた「クアッドローター」というロボット、よく見てみればレクサスのデザインの象徴であるスピンドルグリルやLEDヘッドライト、LFAの排気管をモチーフにしたデザインなどが散りばめられているんですよ。
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