車両が引退する。路線や列車が廃止される。そのたびに“葬式鉄”が現地に訪れてにぎわう。「ふだんからこれだけ乗ってくれたら廃止にならなかった」という批判もあるようだが、それは的はずれだ。葬式鉄が価値を見出した部分は“廃止”である。廃止されなければ、他の路線や列車と同じ価値しかない。
それでは、葬式鉄はなぜ現地に集まるのか。ひとつは“イベントとしての楽しみ”だ。同好の士が集まる。また、廃止、廃車、廃線イベントを鉄道会社が実施する場合は、車両撮影などにお墨付きを与えたようなものだから、鉄道ファンにとって居心地がいい。祭り好き、イベント好きの血が騒ぐ。これは鉄道ファンに限らない。
もうひとつは、“消え去る者に対して、きちんとお別れをしたい”という心理だと思う。少なくとも私はこの部類である。路線が廃止となると聞けば現地に赴き、その最後の活躍を見ておきたい。心のなかで「お疲れさまでした」と手を合わせたい。イベント好きは廃止、廃車当日に集まるけれど、“お別れ派”の私は静かに過ごしたいから、混雑を避け、当日よりも早めに現地訪問したいと考える。その風景を記憶し、カメラなどで記録すれば納得。これでお別れのけじめができる。
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