“葬式鉄”に学ぶ、不要なモノと別れる方法杉山淳一の時事日想(5/5 ページ)

» 2013年12月20日 06時52分 公開
[杉山淳一,Business Media 誠]
前のページへ 1|2|3|4|5       

捨てるではなく、供養してお別れをする

 九十九神とはいえ、明らかに要らないモノは捨てたい。どうしたら捨てる心境になるだろうか。葬式鉄の心理を思い出してほしい。あるいは針供養でもお焚き上げでもいい。キーワードは「供養」である。廃車となる電車に「ありがとう」と言ってけじめをつけるように、廃止される路線や列車を見届けて納得するように、きちんと感謝してお別れをする。その儀式があれば、要らなくなったモノとお別れできる。つまり、捨てられるのではないだろうか。

 いや、捨てるではなく、供養だ。書けなくなったボールペンにも、感謝の気持ちを込めてお別れをする。菓子箱もショップの手提げ袋も、私に商品を届けてくれた時点で大役を果たしている。その時点で感謝し供養しないから、ずっとその場に居座り続ける。こうなるともう九十九神ではなく、地縛霊であり、妖怪バショトリではないか。

 よし。こうなったら、使わないモノに対して、かたっぱしから感謝して供養してやろう。要らないモノを集めて“お別れ列車”に見立てた台車に乗せ、ゴミ捨て場までラストランだ! ゴミ捨て場ではなく、リサイクルショップやオークションサイトへ向かって“発車”すれば、廃車ツアーの参加費くらいは稼げるかもしれない。そろそろ盛大にモノを見送ってやりたい。

2003年に廃止されたJR西日本の可部線の三段峡駅。この写真は廃止日の約2週間前。平日にもかかわらず紅葉見物客と鉄道ファンで大混雑だった
前のページへ 1|2|3|4|5       

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.