出版社勤務後、世界のカルチャーから政治、エンタメまで幅広く取材、夕刊紙を中心に週刊誌「週刊現代」「週刊ポスト」「アサヒ芸能」などで活躍するライター。翻訳・編集にも携わる。世界を旅して現地人との親睦を深めた経験から、世界的なニュースで生の声を直接拾いながら読者に伝えることを信条としている。
日本では、少子化が大きな問題になっている。
……と、そんなことはもはや言うまでもないが、数字を見ればその深刻さは再確認できる。団塊世代が生まれた1940年代後半には、年間270万人の子どもが生まれていたが、今では、年間109万人ほどに減っているのだ。
社会的な変化や生活様式の変化など、その原因はいろいろある。ただ、少子化は日本だけの問題ではない。ドイツ、イタリア、スペインをはじめとする西欧圏は、21世紀中に人口が現在の4億6000万人から3億5000万人に減少すると言われる。中国やロシアなどでは、遠くない未来に人口が半減するとみられている。
少子化傾向なんて先進国だけだという話を耳にするが、それも正確ではない。ブラジルやメキシコ、コスタリカ、ギリシャなどでも少子化は問題になっている。意外なことに、インドですら少子化傾向にある。サハラ以南のアフリカでも、これからどんどん少子化傾向になると言われている。
こうした人口減少や高齢化に対処するために、人類はもっと子づくりに励むしかない。世界では各国がそれぞれの事情を背景に少子化対策を行っている。子作りキャンペーンから精子の輸入まで、世界の少子化対策は興味深いものが多い。いくつか見ていこう。
最近、デンマークの旅行会社による子作りキャンペーンが話題になっている。デンマークでは過去27年にわたり、少子化傾向が年々強まってきている。このままでは高齢化する社会を支えられなくなるとして、国内でも議論が続いているのだ。
そこで、政府の取り組みが十分ではないと考えたシュピースという旅行会社が、子づくりをビジネスに取り込む戦略を思いつき、キャンペーンの動画を作成した。2014年3月26日に公表された「デンマークのためにヤろう!」(参考リンク)という題名の動画が世界で注目されている。
動画は「Can Sex save Denmark's future?(セックスはデンマークの未来を救えるか)」というフレーズから始まる。そしてこう続く。デンマーク人は旅行中に普段よりも46%多くセックスをすることが分かっており、しかも、新しく生まれる子どもの10%は旅行中にできた子どもという。それ故に、シュピースで旅行を予約して、旅行先で子どもを妊娠しようということらしい。妊娠したことを証明すれば、その後3年分のオムツや肌着、ベビーカーなどがプレゼントされ、子どもと行ける旅行まで贈られる。
この動画はクオリティの高さも話題になった要因の1つだ。ポップで完成度の高い動画を制作し、インターネット上にアップして社会問題を視覚的に訴えるのは面白い試みだ。
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