あなたは“仕事ができない若手”を作る中間管理職になっていないか?サカタカツミ「新しい会社のオキテ」(2/3 ページ)

» 2014年06月16日 08時00分 公開
[サカタカツミ,Business Media 誠]

 イマドキという言葉は好きではありませんが、いわゆる「イマドキの若者は……」とレッテルを貼られるケースは、「ゆとり世代だから使えない」とか「常識がなくて困る」とか「口ばかり達者で身体が動かない」とか、ネガティブなワードとセットになることが多いです。しかし当然、そうではない人もいる、という当たり前の話。そしてネガティブなレッテルを貼られない極めて優秀なイマドキの若手が、40歳前半くらいまでの中間管理職と上手くいかない、ことが多い。

「現場が機能不全になることもあるようで、心配です」とある管理職

 いったい、どんなことが起きているのか。ある仕事を例に説明してみましょう。プロジェクトチームが結成されて、新しいプロダクトを期間内に開発しなければならなくなりました。抜擢されたのは3年目の若手。お目付役として10年目の中堅と、プロジェクトをまとめる中間管理職。厳選されたメンバー、小さなチームで素早く、そして、画期的な製品を生み出そうとするのは、それこそイマドキの流行です。若手もいつもの仕事とは、張り切り方が違います。

 製品開発、ベンチャー企業、フレームワーク、ありとあらゆるジャンルの書籍を求め、新しいサービスをリリースしたいと考えている企業がプレゼンテーションをする場所があれば積極的に情報収集をして、さらに多くのデータを入手して徹底的に分析。それこそ、寝食を忘れて仕事に没頭する勢いです。

 プロジェクトをまとめる中間管理職は他の仕事と兼務ですから、時折受ける報告も、言い方は悪いのですが“流して”聞きがち。報告を受ける側の態度に真剣味がないことに気づき、若手も報告する回数が徐々に減ってきます。

 お目付役だった中堅社員が機能すれば良いのですが、これまた別の業務と兼務している状態で、細かく見ることができない。前のめりになって仕事に取り組んでいる若手をフォローするのは、意外に労力が必要ですから。仕事はたくさんあるのに、人がいなくてすべてが上手く回らない、という典型的な状態。このコラムの読者の職場にもありがちな光景でしょう。

 そのうち、一定の成果を報告して、製品の開発の方向性を経営陣に示す期日が迫ってきたことに気がついた中間管理職は、あわててミーティングを設定。若手から報告を受けます。

 いままで進捗を報告し、生返事とはいえ「いいと思うよ。とりあえず進めておいて」といわれて、安心して進めていた若手は、データを分析し、自分なりに考えた新しいアイデアを、提案します。そこで中間管理職から思わぬ一言を叩き付けられるのです。

 「うーん、この体裁では経営陣に報告できない」

 まずはアイデアの画期性、収益性、事業への貢献度合いなど、チェックするべきポイントはたくさんあるはずですが、中間管理職はそこではなく、社内のルールにこだわります。もちろんそれが重要なのは理解できますが、若手は納得しません。そもそも進捗を報告し、確認してから取り組んだ仕事にもかかわらず、ギリギリのタイミング、リカバリーができるかどうか、というところにきて「違う」と言われてしまったのです。

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