「文脈(narrative)を創る」日本人になろうグローバルエリートから見た世界(3/4 ページ)

» 2014年06月26日 08時00分 公開
[原田武夫,Business Media 誠]

「文脈」を創り出す側になる──まず身に付けるべきこと

 文脈を単に聞き、与えられるだけではなく、自らこれを創り出す側へとまわっていくこと。私たち日本人が「グローバル化」を標榜するのであれば、これこそがまず身に付けるべきことだ。そうすればグローバル社会につきものの弱肉強食の競争や、その中で常套手段である奸計(かんけい)からも巧みに逃れることができる。なぜならば「仕掛けられる側」から「仕掛ける側」へと転ずることになるからである。

 無論、こうした立場になるまでにはそれなりの能力と覚悟がいる。特に論理的思考能力と外国語能力(特に英語能力)が不可欠だ。だがそれ以上にまずは「そこで何が話され、かつこれから語られようとしているのか」ということについて、リアルタイムに紡がれていく文脈を知るべきなのである。訥々(とつとつ)とではあっても、一つ一つの意見をしっかり考え抜き、発言すれば、やがて日本人を見る目も変わってくる。

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 ここで注意を一つ付け加えておくならば、こうした国際会議・フォーラムで直接的な利益をすぐさま得ようとしないこと。これらを活用するには、まずどっしりと構え、中長期的にコミットしていく姿勢を見せるべきだ。どのみち日本からは自分だけ、もしくは自分を含めほんの少数しかいない。それをさびしがるのではなく絶好のチャンスととらえ、「グローバルな視野」から見解を堂々と述べればよい。

 だが、これが案外多くの日本人にとっては難しいようだ。どうしても「ウィ・ジャパニーズ(We, Japanese=我々日本人は)」とやってしまう。最初のうちは面白がって聞いてくれていた他国の出席者たちも、徐々に眠そうな顔をし始める。なぜならば、いきなり「日本(Japan)」と言われてもあまりにも遠すぎ、彼らにとっては全くリアリティがないからだ。そうこうしている間に発言のために割り当てられていた時間が過ぎ、絶好のチャンスを逃してしまう。

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