組織を停滞させるボトルネック「逆ギレ上司」になっていませんか?サカタカツミ「新しい会社のオキテ」(2/3 ページ)

» 2014年07月28日 02時55分 公開
[サカタカツミ,Business Media 誠]

 部下も正しいことをしているのですから、当然譲りません。いずれ指摘を受けた時のダメージや、そもそも法的に問題のある行為はやるべきではないと、至極真っ当な話をしていると、ついに上司は逆ギレしました。

 「世の中、きれいごとではやっていられない! 机の上で勉強したことや、決まり事を杓子定規に守っていてはビジネスなどできない! オレはいままでこのやり方でやってきて、いまの地位にいる。それを全部否定する気か!!」

 ……恐ろしい剣幕です。この話を、別の企業の中間管理職にしたところ「あー、ウチでも似たようなことがありました。いままでのやり方を、正論でグウの音も出ない状況で全部否定されると、上司って逆ギレしますよね」と。どうやら全国各地のビジネスの現場で、似たようなことがしばしば起こっているらしいのです。

自説を曲げないことが、最後の心のよりどころになっている

 逆ギレ上司の典型例として「自説を曲げない」ことが挙げられるでしょう。先のエピソードにあるような、法律よりも自分の経験が正しいし、従うべきは自分なのだと、信じて疑わないという人たちです。とにかく、自分は絶対に間違っていない、自分の経験がすべてだし、自分が分からないことはなかったことと同じである、というタイプです。

 自信満々に間違った自説を開陳して、部下の誰かに指摘されると「しょせん、彼はまだ青二才だから」とか「現場のことを分かっていないというのは、悲しいね」と、自分が勝っている部分、つまりは年齢や経験で揶揄したり、先のように正論で詰められると「世の中、正論ばかりで成り立たない」とか「世の中で正しいとされていることが間違っていることもある」と、反論する側が呆れるような詭弁を弄したりと、とにかく絶対に引きません。まるで、自説を曲げないことが、心のよりどころになっているという感じでしょうか。

 個人的に頑固な人がいて、自分が絶対正義だと言い張るのは問題ないのですが、組織としては困ります。組織として設定したルールを守るべきだと行動した部下が、オレ様ルール以外はすべて間違っているのでと上司に怒られるという状態を、企業は当然よしとするはずがないのです。

(写真はイメージです)

企業は逆ギレ上司に「話を通す」というセレモニーを忘れるな

 ただ、逆ギレする上司に対しても、少しだけ同情する余地はあります。それは、今までの経験や、ルールなどが変わってしまう時に、自分に相談されたり説明を受けたりすることが、ほとんどないことです。組織内のどこかで、誰かが「時代だから」とか「当然のことなので」という正論だけで、突然いろんな仕組みや習慣が変わってしまう。そこに反論の余地がない。

 「法律を守ってビジネスをしましょうなど、当たり前のことで、それを自分に相談もなしにと怒るなんて、逆ギレるほうがおかしい」という声も聞こえてきそうです。もちろん、それはその通り。文字通り正論です。けれども、だからこそ、当たり前だからという前に「法的な問題を排除するために、仕組みを変えようと検討していますが、問題点を一緒に洗い出してください」と言えば済んだことなのかもしれません。たとえそれがセレモニーであったとしても。

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