家は持つべきか、持たざるべきか――これでも、あなたは家が欲しいですか?マネーの達人(4/4 ページ)

» 2014年08月05日 07時00分 公開
[平山哲也,マネーの達人]
マネーの達人
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50歳で家を買うという選択

(写真と本文は関係ありません)

 人生はまだまだ続きます。家を買うのは、今が最適ですか? 家を買うための人生でなく、自分の人生のクオリティを重視すべきではないですか?

 賃貸住宅に30年間、10万円の家賃を払い続けて住んでも総額は3600万円です。4000万円で家を買って固定資産税や後々のリフォーム費用もかかることを考えると、しっかり貯えて、もう少し年をとってからキャッシュで買うという選択肢も浮かび上がってきませんか?

 私は以前、「50歳で家を買え」というコラムを書いたことがあります。要は、30歳の今、50歳になった自分の思考が分かりますか? ということです。

 それに、30歳と50歳で自分が家に居る時間を比べると、一般的には50歳のほうが長いです。子供の教育環境などを考えて「子供が小学生の間に家を買いたい」と言う人がいます。でも、小学生の子供は、そこから7〜8年しかその家に住まないかもしれないのです。

 そういう理由で若い時期に家を買うと、子ども優先のため、自分の好きな場所ではなかったりします。また、30代のころは都会に住みたいけど、50代にもなると田舎が良くなったりします。自分の年齢と環境がマッチしない場所に家があったりすると、そこに延々とお金を払い続けるのも、少し不幸かなと思います。

 だから、50歳を超えてライフスタイルも見えてきて、ある程度の貯金ができた後に家を買うというのも、いい選択だと思います。ローンを組むにしても、1000万円と3000万円借りるのとでは返済期間も短く、たとえ1000万円を10年で借りても、払う利息はたかが知れています。

借入総額1000万円、返済期間10年の場合

ローン金利1.5%=支払い総額1077万4922円(諸費用別)


 返済期間も短いので、精神的にも安定します。途中で子育てが終われば、子どもにお金をかけることもなくなるので、さほど心配もいらなくなります。50歳を超えて、自分の志向が定まったときに家を買うのもいいんじゃないですか? 自身のライフをしっかり考えたほうが、後悔しない結論を出せるのではないかと思います。

 今、30歳の人に、「50歳になったときにどんな生活をしたいのかイメージして」と言っても、ピンとこないかもしれません。夢や理想は持っていたとしても、実際にそれが実現できる人生になっているかどうかは分かりません。メンタルの部分もしっかり含めて、家を買うという検討をしてもいいのではないでしょうか? (平山哲也)

著者プロフィール:

平山哲也

(株)財コンサルティング

青山学院大学法学部公法学科卒業後、大手証券にてリテール営業に邁進する中、欧米の金融教育とリスク管理手法に感銘を受ける。

ビッグバン到来時は、フローからストックへの掛け声のもと教育係として全国行脚し、長期投資・分散投資の啓蒙に邁進。50歳を前に大手メガバンクへ転職し、投資の啓蒙に尽力。

金融業界一筋30年の経歴だけでなく、家業の失敗による「貧乏」「借金」「子育て」「マイホーム購入」という人生経験が活きたコンサルティングは、その言葉の全てを聴くものの腑に落とす魔力がある。資産形成のアドバイス、ポートフォリオプランニングを最も得意とする。

長崎県出身、1959年生まれ。


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