新宿伊勢丹が直結している新宿三丁目駅の1日の平均乗降客数は、東京メトロによると7万9000人(2013年4月〜12月)で、前年同期比で約5割(!)増えたという。新宿三丁目駅で乗り換える人、途中下車する人が一気に増えたわけだ。その人たちはどこから流れてきたのか。
それは渋谷である。同じ時期、JR渋谷駅の乗降客数は激減した。41万2009人から37万8539人へと約8%も減った。19年連続で日本で3位だったのに、2013年度は一気に5位に転落したのである。最近、伊勢丹の新規のカード会員を分析すると、目黒区や品川区、大田区などの住民が目立つという。
つまり、従来は渋谷の東急や西武、丸井といった百貨店に勤務後に寄っていた東急東横線沿線在住のOLなどが、渋谷の代わりに新宿三丁目駅で乗り換え、そのついでに伊勢丹に寄るようになったのだろう。そして昼間は、東急沿線のマダムたちが渋谷で降りずに、一気に新宿三丁目まで直通で出かけ、お友達とお茶するようになったということだ。
実際、私の知人も数人、「以前は渋谷乗り換えだったけど、今は新宿三丁目乗り換えで通勤している」と言っている。直通運転化により、これほど人の流れが大きく変わった例は珍しいかもしれない。
渋谷が嫌われ、新宿三丁目に人が流れた理由はシンプルだ。ずばり、渋谷駅が不便になったからである。私も東急東横線沿線の住民だが、渋谷駅で半蔵門線に乗り換えようとすると、以前より距離的には近いはずなのに通路が狭くなったため、かえって時間を食うようになった。
ましてや、地上の離れた位置にあるJRや銀座線もしくは京王井の頭線に乗り換えようとすると、地下5階から分かりにくい通路を延々と移動することになり、うんざりしてしまう。JR渋谷駅の乗降客数が激減したのは実感としてうなずける。
では、こうした状況を東急電鉄では予想したのだろうか? ましてや一部の噂にあるように「ライバルであるJRの売り上げを減らすために意図して行った改悪だ」との意見は的を得ているのだろうか?
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