あなたの職場をむしばんでいるのは、その「ローカルルール」かもしれないサカタカツミ「新しい会社のオキテ」(1/3 ページ)

» 2014年08月18日 08時35分 公開
[サカタカツミ,Business Media 誠]

著者プロフィール:サカタカツミ

 クリエイティブディレクター。就活や転職関連のサービスをプロデュースしたり、このような連載をしていたりする関係で、そちら方面のプロフェッショナルと思われがちだが、実は事業そのものやサービス、マーケティング、コミュニケーションの仕組みなどを開発するのが本来の仕事。

 直近でプロデュースしたサイトは「CodeIQ」「MakersHub」。著書に『こんなことは誰でも知っている! 会社のオキテ』『就職のオキテ』。この連載についても、個人的に書いているブログでサブノート的なエントリーを書く予定。Twitterアカウントは@KatsumiSakata


 個人的な話ですが、以前、球場の前に住んでいたことがあります。その球場は学生野球のメッカと呼ばれる場所ですから、シーズンともなると、多くの学生がそこに通じる道をたくさん行き来していました。

(写真はイメージです)

 そんな中、ある光景が目に飛び込んできました。歩いていた学生たちが突然足を止め、直立不動であいさつをしています。どうやら先輩と後輩の関係のようです。それを見ていた年輩の女性たちが「礼儀正しくて、素敵ね」と、つぶやいていました。

 しかし、私の目にはそんなに素敵な光景には映りませんでした。なぜなら、彼らが足を止めてあいさつをしている間、往来の人の流れは完全に遮断されてしまって、ところどころ渋滞ができていたからです。何度も繰り返し行われる儀式のようなあいさつ、しかも複数の場所で同時多発的に始まるので、歩いている人たちにとっては迷惑以外のなにものでもありません。そこで行われていることそのものは極めて礼儀正しいことにもかかわらず、大きな視点で捉えると、極めて非常識なことをしている。いわば、身内だけのルールです。

 この問題を解決するのは、それほど難しくありません。先輩が後輩に対して、人の往来の激しい場所でのあいさつは不要、もしくは立ち止まってしなくてもいいと伝えればいいだけです。しかし、それがなかなか難しい。ビジネスの現場でも似たようなことがたくさん起きていて、多くの人が困っていますが、あなたの周りは大丈夫ですか、というお話を今日は少しだけ。

当人たちだけ「当たり前」のルールは改訂が難しい

 冒頭に挙げた例は、なぜ改めるのが難しいのでしょうか。ポイントはいくつかありますが、まず分かりやすいところから。最も多いのは、「当人たちが気付いていないから」「そもそも改める気がない」というケースです。

 往来で立ち止まってあいさつすると、人の流れを遮断してしまう。それに気がつけば改めますが、そこに思い至らない限り、そもそも問題があることすら認識できない。後輩は先輩の顔を見たら立ち止まってあいさつするのが絶対的なルールであると申し送られれば、それを忠実に守ることで精一杯でしょう。他に迷惑をかけているのかどうか、見る余裕などありません。

 では、あいさつを受ける先輩はというと、後輩からはそういうスタイルでのあいさつを受けるのが当たり前だ、という固定観念から抜け出せなくなってしまって、結局、人の往来を妨げるようなあいさつをしてはならないという発想には至らないのです。

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