“敬老の日”シニアケータイ商戦、格安スマホか大手キャリアか親へ贈るスマホ、どちらがいい?(2/2 ページ)

» 2014年09月12日 21時28分 公開
[岩城俊介,Business Media 誠]
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「格安スマホ」、シニアにも向く?

 一方、格安スマホはどうか。

 格安スマホを展開するフリービットが、自社グループが展開するスマホキャリア事業“freebit mobile”の独自スマホ「PandA」のアプリケーション群を大幅にアップデートすると発表した。敬老の日に合わせ、2014年9月15日より10月初旬にかけて順次新機能を追加していく。

 PandAは、5.5インチの大画面スマホと格安SIMをセットで販売し、端末料金込みで月額2000円(うち1000円が通信基本料、1000円が24回払い時の端末の分割支払い料金)で使える。通信規格は3Gのみ、速度も300kbpsほどに制限されるが、データ通信量に上限はない。高速ではないが、その分シンプルで低価格に使える仕様のサービスだ。

 大手通信事業者およびMVNO他社との差別化ポイントに、端末、ミドルウエア、OS、ネットワーク、クラウドシステムまでを垂直統合したオリジナルの端末でシンプルにサービスを展開する点をうたう。

photo freebit mobileが展開する格安スマホ「PandA」。

 「一般的なAndroidスマホや従来のAndroidアプリの制限を超えた領域、コアな部分に踏み込んでハードウェアをコントロールできる仕組みを構築できるのが強み。普通の機種とは別にシニア向け、子ども向けなどと分けるのは事業者のエゴ。シニアは必ずしもそれを望んでいるわけではない。PandAはシンプルデザインの1機種1色で展開し、キッズスマホになれば、見守りスマホにもなる。家族全員同じ機種で使える。われわれは、スマホを“みんなが簡単に、どこでも使えるコンピュータである”と考えており、あくまで電話を軸にした大手とはスマホの考え方が違う」(フリービットの石田宏樹社長)。このコアテクノロジー群を「PandA CORE」と定義し、パートナー企業やアプリケーション開発者にも公開するオープン化方針を示した。

 新機能群「PandA apps update Fall 2014」は、“家族向け”をテーマに機能を拡充。ライフログ機能「PandA lifelog」、フォトフレーム機能「Digital Photoframe」、“ゆるやか”なコミュニケーションツール「Air Knock!」、大画面化にともなう「片手操作用の基本ボタン呼び出し機能」、IP電話向け「緊急通報を代替する機能」を追加した。

 PandA lifelogとDigital Photoframeは、家族登録したPandA間で歩数計のデータや写真を共有できる機能。歩数と、GPSデータ(どこにいるか、どこへ行ったか)や時間帯(何時から何時のデータか)などスマホで得られる情報もひも付けて把握できる工夫により「親の見守りツール」としての活用を想定する。Digital Photoframeは、前述したらくらくスマートフォン3の「ファミリーページ」と似た感覚で親のスマホへ手軽に写真を送れ、容易な操作でそれを見てもらえる仕組みとした。一般的なAndroidスマホではできない、システムのコアな部分まで踏み込んで機能を実現できる点がPandAのならではの大きな強みという。

photo 親の歩数計データを取得し、「何時から何時の間、何歩歩いた。いまどこへいる」などの情報で親の安否を確認できる。写真はデモを行うフリービットの石田宏樹社長

 Air Knock!は、電話やメールをするまでもない、ちょっとした確認を行うための家族の“ゆるいつながり”のために追加した。コンコンと端末をノックすると、相手の端末へ「コンコン」と音と振動で伝わる。「起きてる?」「いま大丈夫?」といった程度の軽い通知だ。動作が簡単なので覚えやすいこと、子とすれば、親がそれに反応しさえすればいいので、親の存在確認を手軽にとれる。さらに、ノックを5回以上すると移行する緊急連絡モードも備え、親の端末がマナーモードになっていても“強制解除”してノックの音が鳴る。一般的なスマホと既存のアプリでは難しい、こういった内部機能の制御ができるのもPandAならではという。

photo ノックしあう“ゆるい”コミュニケーションツール「Air Knock!」。操作が単純で、反応があればOK。安否確認に便利そうだ

 “安心”のための機能にもう1つ、「緊急通報を代替する機能」も取り入れた。格安スマホ(格安SIM)の多くは、IP電話サービス(アプリ)で(090、080で始まる電話番号での)音声通話を代替する。ただ、050で始まる電話番号のIP電話サービスは110番、119番などの緊急通報が使えない。この安心・安全面における課題を回避するものだ。具体的には、GPS情報を参照して現在いる場所を特定し、その最寄りの警察署の(固定電話)受付番号を表示する仕組み。以後、消防署や救急車の呼び出しにも対応させたいという。

 「これまでのスマホが変えられなかった、超えられなかったことを、自社の技術で、違うカタチで改善していく。実は、PandAユーザーの15〜20%が60歳以上のシニア層。ここは自身で購入していただいた以外に、子世代が家族一緒にとまとめて導入していただいた例がかなりある。スマホを使っていない約60%のシニア層のうち、10%をとっていくのが目標」(フリービットの石田社長)



 実績がある大手通信事業者か、低価格な格安スマホか。“親へ贈る”スマホはどちらが適切か。贈る子世代の悩みは尽きない。

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