コンビニの国内市場は10兆円を超えているが、ここにきて業界2位・ローソンの“全方位戦略”が止まらない――。
同社は従来型のコンビニに加え、低価格で生鮮食品も多くそなえた「ローソンストア100」を展開。2014年からは「ローソンマート」を出店して、スーパー業界への本格参入を果たしている(関連記事)。
また、調剤薬局チェーン「クオール」のノウハウを生かして調剤薬局併設型のコンビニをスタート。ケアマネージャーが常駐する介護支援型のコンビニも出店する予定だ。
さらに、2010年には音楽CD・DVD販売を手掛ける「HMVジャパン」(現在はローソンHMVエンタテイメント)、2014年にはシネマコンプレックスを運営する「ユナイテッド・シネマ」を相次いで買収した。
ここで一服かと思いきや、ローソンは9月30日、高級スーパー「成城石井」を約550億円(負債を含む)で買収すると発表した。成城石井は、1972年2月に創業。高級住宅地として有名な東京都世田谷区成城で、食品スーパーとしてスタート(現在の本社は横浜市)。一般の食品スーパーと違って、ワインやチーズといった輸入品のほか、素材にこだわったオリジナル商品を扱うなど、独自の路線を歩んできた。
そんな成城石井が、なぜ買収されることになったのか。同社は2004年に、創業家がレックス・ホールディングス(現在はレインズインターナショナル)に株式を売却。その後、多店舗展開に踏み切り、2011年には三菱商事系の投資ファンド、丸の内キャピタルの傘下に入って、経営を続けてきた。他の食品スーパーではなかなか手にすることができない高級食材の販売が好調で、現在は関東圏を中心に120店舗を展開。社員は820人、パート・アルバイトは2609人(いずれも2014年1月末)。
決算公告によると、成城石井の2013年12月期の連結売上高は544億円4400万円(前期比5%増)、営業利益は33億3800万円(同6%増)。2014年12月期の連結売上高は前年比10%増の601億3500万円、営業利益は45%増の48億6400万円を見込んでいて、消費増税後も好調が続いている。そこで、“このタイミングを狙っていた”とばかりに、株式が売却されることになったのだ。
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