2013年下期の「失敗大賞」工場長賞に選ばれたのは、本社工場第1車両製造部車両検査課の塗装検査工程に関するもの。クルマの塗装面にゴミが付いているかどうかを検査するこの工程では、蛍光灯の光を当てたボディの表面を検査員が図面で定められた手順に従ってチェックしなければいけない。
ただ、CX-5以降、アテンザ、アクセラ、デミオと続くマツダのボディは、複雑な面で構成されるフォルムや輝度の高い塗装によって、塗装ゴミの発見が難しくなっている。そこで車両検査課のチームは、この検査工程を数値といった形で標準化することにした。これまで行ってきた検査員の目の位置を、ボディ表面の180カ所に渡って塗装面からの角度と距離として計測して記録し、マニュアル化しようとしたのだ。
計測は1カ所に付き、検査に従事する4人で測定するため、例えばボンネットだけでも測定には4時間を要したという。しかし、結局、作業は角度と距離という数値化はできたが、そのデータを作業者に見せても実際の作業をイメージすることは難しい、ということで実際の作業に生かされることはなかった。この取り組みが失敗大賞に値する挑戦として評価されたのである。もちろんこの失敗はその後、検査する目線を送る手順をボディに貼りつけて訓練ができる「目線訓練シート」や、検査員の動きを動画で撮影し、それをPCやiPadで比較して見られるようにするなど、別の形で標準化することに成功している。
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