土肥: 先ほど「2011年に事業を譲り受けたとき、どういったお客さんがスタジアムに来ているのか分かりませんでした。そうしたデータがなかったんですよ」と話されました。想像の範囲ですが、親会社の「DeNA」といえば、データを重視する会社ですよね。なので、球団を運営される立場になられて驚いたのではないでしょうか? 「客のデータがないなんて……」といった感じで。
池田: 昔は、試合がテレビで放送されて、その収入でなんとかやってこれた部分がありました。しかし、今は違う。横浜DeNAの場合、テレビ放映権料の収入になかなか期待できないので、“お客さんにスタジアムまで足を運んでもらう”ビジネスに変わりました。感覚でビジネスをやっていくのには限界があるので、マーケティングが必要になってきたのではないでしょうか。
例えば、横浜DeNAでは女性客が増えていますが、そのことを分析しなければいけません。なぜルールも知らない女性がスタジアムに来てくれるのか。実際に来てみて、彼女たちは何が楽しかったのか。何に不満を感じたのか。といったデータがものすごく大切だと思っています。
土肥: 例えば、スタジアムのトイレって「汚い」といったイメージがあります。こうした不満の声も多かったのでは?
池田: 女性にとってトイレはものすごく重要です。横浜スタジアムではトイレの数を増やして、既存のモノはすべてリフォームしました。
土肥: 飲食もイマイチですよね。ビールに焼き鳥……といった感じで、オジサンが楽しめそうなメニューは充実しているのですが、女性が好きそうなモノは少ない。
池田: そこも大きな課題です。スタジアムに来られるお客さんを見ていると、コンビニでお弁当を買って入場される人が多いんですよ。
土肥: あー、私もそのひとりですね。
池田: 本拠地の横浜スタジアムは、私たちが運営していないのですぐに変えることはできないのですが、いろいろな提案をさせていただいています。ビールに焼き鳥……といったメニューでは、ちょっと残念ですよね。「今日はスタジムでおいしいモノを食べようよ」といった人が増えてくると、まだまだ観客数を伸ばすことができると思うんですよ。
大リーグのスタジアムをみると、本当にこれ必要なの? と思うくらい、食べるところが多いんです。米国と日本ではスペースに違いがあるので、すぐに米国の方式を取り入れることはできません。ただ、限られたスペースの中で、できることはやっていかなければいけません。
球団を運営してみて、分かったことがあります。それは「競合相手は、スタジアムの外にある」ことです。
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