日本のプロ野球や米メジャーリーグを中心としたスポーツ界の裏ネタ取材を得意とするライター。WBCや五輪、サッカーW杯など数々の国際大会での取材経験も豊富。
惜しくも頂点に上り詰めることはできなかった。阪神タイガースが日本シリーズでソフトバンクホークスに1勝4敗となり、29年ぶり2度目の日本一の座を逃した。しかも勝負を決した最後の第5戦は「守備妨害」で試合終了……。なんとなく後味の悪さも残ったことで多くの虎党が落胆の声を響かせていると思うが、がっかりする必要はない。ここまで夢と希望を与える激闘を繰り広げた猛虎軍団の面々に拍手を送るべきだ。
クライマックスシリーズ(CS)ではセ・リーグ優勝を奪われた巨人に1勝のアドバンテージがあるハンディをはねのけて4連勝し、初のCS制覇。レギュラーシーズンで最後は7ゲーム差をつけられた相手に敵地で鮮やかなリベンジを果たした。下克上は完遂しなかったが、9年ぶりの日本シリーズ進出を果たした猛虎軍団の戦いぶりは大いに賞賛されていい。
そんな今季のタイガースを率いていたのが、和田豊監督だ。今季で就任3年目だが、虎の縦縞ユニホームは現役時代から引退後も首脳陣として実に30年間着用し続けている。1985年のルーキーイヤーから阪神一筋。本来ならば「生粋のミスタータイガース」と呼ばれるべき存在でありながら、ここまで不思議なぐらいになかなかスポットライトを浴びていなかった。普段から物静かで、どちらかというと口数も少ない印象のタイプ。そういうイメージが強いせいか、メディアで自身の発言が大きく取り上げられることがほとんどないことも要因なのだろう。
一言で評すれば「地味」――。だから、その虎の指揮官が類まれな“図太い神経”の持ち主であることは世の中に余り知られていない。実は、ここに和田監督の指揮官としての真骨頂が隠されているのである。阪神の有力OBが、こう解説する。
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