そのような相続税対策のポイントを税理士法人FP総合研究所の松原健司税理士が分かりやすく解説。それに加えて、賃貸経営のノウハウを、日本全国で5万件以上の賃貸物件を管理している「日本管理センター」の武藤英明代表取締役社長執行役員が明かしている。
相続税対策の本というとだいたい税理士のセンセイが解説をするだけなのだが、本書が新しいのはそこに「賃貸のプロ」の視点も加わっている点だ。しかも、武藤社長は単なるプロではない。空室だらけの賃貸住宅を独自のノウハウで入居率92%に回復させることで知られるプロパティマネジメントの専門家である。不動産オーナーたちに、アパートメーカーなどの「建てる論理」に惑わされることなく、入居者側の「住む側の論理」の重要性を訴えてきた武藤社長は創業13年で全国5万件以上の物件を管理するまで会社を成長させ、東証一部上場まで果たした凄腕経営者でもある。
本書でも警鐘を鳴らしているが、来年にかけて建築メーカーやプレハブアパートメーカーの営業マンがこれを「特需」ととらえ、「相続税ビギナー」にこのように営業攻勢をかけるはずだ。
「とにかく相続税対策になるからアパートを建てましょう」――。
彼らの多くは「建てる」のがビジネスであって、「満室にする」ところまではフォローしてくれない。建てたはいいが、思ったように入居者が現れず結局、アパートはおろか土地まで手放さなくてはいけなくなる「相続破産」のような状況も本書では報告されている。
親の資産というのをすべて把握している人というのも少ないはずだ。「相続税? そんなものオレには関係ないよ」という人こそ用心したい。
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