アップルやマクドナルド、グーグルなどのグローバル企業は、いまや落ち目になった国家を尻目にどんどん強大になっている。低税率国の子会社を使った租税回避を行っていたり、低賃金で労働者を搾取し、法律を自分の都合のいいように変えるなど、やりたい放題やっているように見える。
一方で、先進国の中間層は没落し、多くの人がグローバル化の名目のもと、時給で働く労働力として使われ始めている。民主主義はもはや機能していないのだろうか。人々が幸福になれる未来は来るのか。
書評を中心としたブログを運営しアルファブロガーとして知られる元技術者の小飼弾さんと、元アップル管理職の松井博さんが語り合った。全7回でお送りする。
→アップルやマクドナルドは、本当に“悪の帝国”なのか?(1)
→本記事、第4回
小飼:いま先進国の台所がなぜ苦しいかというと、福祉が原因なんですよ。日本で高齢者福祉に属するサービスを全部止めたとすると、80兆円くらいが浮くんです。それって日本国民のネットインカム(総所得)の3分の1くらいなんです。ちなみに未成年に対して投じられるお金というのは、10兆円を下回ります。
松井:高齢者に回っているお金をなくせとは思いませんが、民営化にしてもいいんじゃないかと思いますね。横浜市営地下鉄に乗っていて、ふと疑問に思ったのは、高齢者がタダであること。一番お金を持っている層がタダなのか、と。
小飼:いまは医療が発達してるので、先進国に腰の曲がった高齢者は少ない。多くの人は背筋がちゃんとしてる。
松井:確かにものすごく元気なんですよ。働いたらいいのになあ、と思いますね。
小飼:「高齢者は格差が一番大きい世代だ」と言われますよね。格差というのは生きているうちに積み重なっていくものだから当然です。それを、なんで下の世代にたかるの? と思うんですよ。世代をまたぐから問題なので、お金を同じ世代間でやりくりするのはどうでしょうか? 例えば、僕は1969年生まれなので、同じ69年生まれの人の面倒を見ればいいんです。
松井:面白いですね。
小飼:でも、それだと細かすぎるので、一旦、福祉は全部ベーシックインカム(すべての人に最低限必要な所得を無条件に給付する構想)にしてしまえばいい。
最低限の文化的レベルの教育と福祉を維持するには、いまの税収では足りません。だけど、相続税を100%にしてしまえば足りる。いまの相続税を使ってフラットな課税にすると、どのくらいのレートになるか計算したことがあるんですが、いまの日本でも15%くらい。医療を厳しめにすればもっと低くなるかもしれません。
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