致死率が非常に高く、40度を超える発熱と共に、目や耳など体中のあちこちから出血するという症状で知られる「エボラ出血熱」。この病気がいかに恐ろしい感染症であり、どんな惨状を招いているかという話はよく聞きます。では、人類はエボラ出血熱の猛威を前に手をこまねいて見ているだけしかできないのでしょうか。
もちろんそんなことはありません。今回は「エボラ出血熱に命を賭けて立ち向かう国境なき医師団」の話を紹介します。西アフリカの地でエボラ出血熱が実際にどのような影響を与え、住民たちがどのようにとらえ医療者はどのように対応しているか、現地の実情について迫ります。
初めに伝えておきたいことがあります。基本的にエボラ出血熱は、
ということです。日本で初の感染者が出ても、このことさえ知っていればパニックに陥らずにすみます。簡単に言えば、いつも通り生活していたら知らない間にエボラ出血熱に感染していた、ということはあり得ないということです。
エボラ出血熱は「致死率は高いが、感染経路はかなり限られている」ことが知られています。エボラ出血熱は「発症中のエボラ出血熱患者の体液(血液、分泌物、吐物、排せつ物)に傷口や粘膜が触れる」ことで感染します。発症中の患者だけということが大切です。発症前の患者からも回復後の患者からも感染することは、基本的にはありません。
しかし、エボラ出血熱患者を看病した家族や対応した医療者は患者の吐物や排せつ物などに触れる機会が多く、エボラ出血熱に高確率で感染してしまいます。
エボラ出血熱が残忍な感染症と呼ばれる理由はここにあります。エボラ出血熱の患者に寄り添った人たちがつぎつぎと自らもエボラ出血熱患者になってしまう点です。このエボラ出血熱の特徴はその高い致死率と合わせて、この感染症の制圧を一段と難しくしています。
このエボラ出血熱の前に、人類はどのように対応していけるのでしょうか。
残忍な感染症を前に、毅然(きぜん)と立ち上がった団体がいます。あの「国境なき医師団」です。彼らは現地スタッフを募集し、その現地スタッフと共に「エボラ出血熱」の対応に当たっています。
命を賭けてエボラ出血熱と戦っている――という表現は、決して比喩表現ではありません。2014年11月5日に発表されたWHOのデータによると、546名の医療従事者がエボラ出血熱に感染し、310名が命をおとしています。
万全の策を期してさえ感染者や死亡者が出てしまうほど、エボラ出血熱とは脅威的な感染症なのです。彼らがどのようにエボラ出血熱の患者に対応しているのか、そしてそこにはどのような障壁があるのでしょうか。
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