このように、中南米では成果が少しずつ出始めている。ブラジルのカカオプランテーションからフォラステロ種を移植してカカオ生産を発展させてきた西アフリカも、病害に強い品種改良が急務となっている。同じカカオの品種を使用していても、国により気候や土壌が異なるため、中南米で開発されたハイブリッドの品種が同じような効果をもたらさないからだ。
カカオ不足の背景にあるのは、熱帯雨林の伐採などによる気候変動や生態系のアンバランスによる病害の発生はもちろんのこと、そしてなによりも、「神の食べ物」に魅了された人間の大量消費に他ならない。クリスマスにチョコレートを食べる、または食べたという人も多いだろう。遠くない未来に、チョコレートが消え行くかどうかは自分たちの行いにゆだねられているのかもしれない。
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