「夢の燃料電池車」と騒がれたトヨタ「MIRAI」(ミライ)。発表直後のお祭り騒ぎが一段落した今、そのMIRAIが従来の自動車にどんな影響を与えるのか? 今回のコラムではそれについて考えてみたいと思う。
燃料電池自動車(FCV)とはどんなものなのか分からないことには、ガソリンエンジン車と比べてどうなのかは議論のしようがない。MIRAIについての説明はあちこちにあるが、どうも理解しにくいと思っている人が多いのではないだろうか?
単純に言えば、MIRAIは電気自動車(EV)の一形態である。電力でモーターを駆動して走るからEV。だとすればクルマとして基本的な特徴は、EVの長所短所と同じということになる。
ただMIRAIの場合、従来のEVで重大な欠点であった「航続距離」と「充電利便性」の2つが解決された点が大きく違う。ガス欠ならぬ“電欠”問題を抜きにしたEVの特性についてはこれまであまり語られてこなかった。電欠問題が致命的すぎて、それ以外の話があまりされていなかったのだ。
そして、MIRAIが「夢の燃料電池車」と言われる核心部分は、搭載される燃料電池発電システムにある。これについては発電システムとしての特性を考えてみればよい。特に移動体ならではの問題と、クルマの動力源として求められる電力需要特性を見れば理解できるはずだ。
もう一点、これはクルマ単体の問題ではなく、インフラも含む社会全体の話として考えなくてはならない、エネルギーとしての水素。同時にまた移動体に搭載するものとしての適性を考えてみればいい。
つまり、MIRAIについて考えるには、互いに関連する3つの項目がある。
以下、それぞれについて詳しく見ていこう。
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