土肥: 2008年に創業されたわけですが、なぜ会社をつくろうと思われたのでしょうか?
中村: 大学時代に、3つの人工衛星を打ち上げました。そろそろ就職を考えなければいけないなあと思ったのですが、宇宙関係の就職先って少ない。しかも、どこも大きな人工衛星ばかりつくっている。これまで小さなモノをつくっていたので、もし名だたる企業に就職すれば、その経験を捨てなければいけません。それはもったいないなあと思っていました。
最初に打ち上げた人工衛星はオモチャのようなモノだったかもしれませんが、やがて技術力が向上して、できることの幅が広がっていきました。そうすると「意味のあるモノにしたい」「人の役に立つことがしたい」という思いが強くなって、それはどうやったら実現できるのかなあと考えました。
海外の企業も調べたのですが、当時小さな人工衛星をつくっているところがありませんでした。大学に残ってつくり続けることも考えたのですが、大学は研究が目的なので普及させることが難しい。であれば、自分たちで会社をつくるしかないなという結論になりました。たまたま研究室ではベンチャー支援制度の助成金を受けていたので、会社をつくろうとなりました。それが2007年のこと。ただ、ものすごく苦労しました。
土肥: 何があったのですか?
中村: 人工衛星をつくる技術があったので、そのことを説明すると多くの人が興味をもってくれました。「人工衛星をつくっているの? スゴいねえ」といった感じで。でも、しばらくすると、このように聞かれるんですよ「で、これってどうやって使えばいいの?」と。
土肥: で、なんと答えていたのですか?
中村: 「宇宙から写真を撮れるんですよ」と。
土肥: え、それだけ?
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