中古レコードの「バイヤー」って何をしているの? 買い付け・値付けの奥深さ仕事をしたら“レコード”が売れた(1/7 ページ)

» 2015年02月25日 06時00分 公開
[土肥義則,Business Media 誠]

 “絶滅”は時間の問題――。このように言われていた「アナログレコード」が、欧米を中心に再燃していることをご存じだろうか。全米レコード協会が発表したデータによると、2014年度1〜6月期のレコード売上は、前年同期比+40%。統計ポータルサイト「Statista」によると、2006年には100万枚にも満たなかったレコード(LP)の売り上げが、2013年には610万枚まで跳ね上がっているという。

 なぜ、今レコードなのか。海外でも「CD不況」が当たり前のように叫ばれているのに、アナログの温かみのある音質に注目が集まり、少しずつ人気が高まっているようだ。

 一方、日本ではどうなのか。CDの年間生産額は1998年の約5879億円をピークに、2013年には1962億円まで落ち込んでいる(日本レコード協会調査)。いわゆる“街のレコード屋さん”の多くが姿を消し、大手チェーンの店舗も減少。新品市場が苦戦する一方で、中古市場がにわかに盛り上がり始めているのだ。

 かつて「レコードの聖地」と呼ばれた渋谷宇田川エリアに、中古レコードを扱う「HMV record shop 渋谷」が、2014年8月にオープンした。洋楽を中心に、1960年代から90年代の作品やバイヤーが海外で買い付けたレア盤など約10万枚を販売。また邦楽アーティストの作品を扱っているほか、レコード針やプレイヤーなどの販売も行っている。マニアの心をくすぐるこだわりの品ぞろえが功を奏し、当初の予想通りの売り上げを記録しているという。

 できるだけ安くレコードを買い付け、できるだけ高く売る――。レコードに限らず、すべての中古ビジネスに共通することだが、気になることがある。それは「バイヤー」と呼ばれる人たちが、どのようにして“高く売れそうなレコード”を手にしているかだ。「海外で買い付けをする」というが、具体的にはどういったルートで購入しているのか。HMV record shopの責任者で、バイヤーとしても活躍する小松正人さんに話をうかがった。聞き手は、Business Media 誠編集部の土肥義則。

かつて「“絶滅”は時間の問題」と言われてきたレコードが、いま欧米を中心に売れている
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