トヨタは「もっといいクルマづくり」に向けて新たなモジュール化シャシーシステム「Toyota New Global Architecture(TNGA)」を打ち出し、トヨタグローバルビジョンの中核に据えた。
豊田章男社長はリリースの中で「経営を取り巻く環境が激変する中で、もはや、これまでと同じ考え方や仕事の仕方では、持続的な成長は望めない。トヨタ自らが新しいビジネスモデルを構築することが必要な時代に入った」として、クルマの設計、部品の調達、生産技術と設備、人材育成にまで及ぶ聖域のない大改革を行う覚悟を見せた。
→「トヨタの天国と地獄――GMとフォルクスワーゲンを突き放すTNGA戦略とは?」(参考記事)
トヨタはこの新たなビジョンで、GM、フォルクスワーゲンとの三つ巴の争いから一歩抜け出そうと考えている。少なくともトヨタの歴史において、重大なターニングポイントになるであろう大改革なのだ。それだけの改革となれば、シャシーのモジュール化だけで済むはずもなく、エンジンにも新たな手法が注入されなくてはならない。
トヨタは4月6日に行われた発表会で、2015年中に14機種の高熱効率/低燃費エンジンを投入することを明らかにした。これらはすべてグローバルビジョンのモジュール化構想に含まれる新しいユニットだ。
資料によれば、性能面では「高レスポンス」と「高トルク」に加え「高い静粛性」を目指し、そのための基盤技術としてコンピュータによるシミュレーションと可視化計測を確立し、設計のスピードアップを狙う。
具体的には燃焼室内の気流を分析し、燃料噴射を含めた動的な燃焼のコントロール精度を高めた。エンジンによっては、ターボチャージャーを内製開発することで最適化を進め、各部のフリクション低減なども徹底して行う。もちろんダイレクトインジェクションを用いた吸気冷却による圧縮比のアップやクールドEGRとミラーサイクル(トヨタではアトキンソンサイクル)によるポンプロスの低減と膨張率の拡大は継続して採用される。
資料には、この新メソッドで開発された新型カローラ用の1.5リッターエンジンは熱効率を最大で38%、新型オーリス用の1.2リッター過給エンジンで36%への改善が見られたと誇らしげに書かれている。確かに技術が成熟しつつある今、数値を見る限り目覚ましい改善と言える。
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