富士通、今期は増収減益の見通し 「事業を見直し、ビジネスモデル変革の1年に」15年3月期通期決算(2/2 ページ)

» 2015年05月01日 07時00分 公開
[池田憲弘ITmedia]
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2015年度は“ビジネスモデル変革”の年に

 富士通は2014年に発表した中期経営計画で、2015年度(2016年3月期)に営業利益2000億円、2016年度(2017年3月期)に過去最高の営業利益2500億円を達成することを目標としている。今期の営業利益の見通しは1500億円と目標に500億円届かない。

 減益としたのは2つの理由がある。まずはさらなるユーロ安の進行により、部材調達コストが増えて利益を圧迫するという予測。これで200億円程度の影響が出るとみている。残りの300億円は「全社的なビジネスモデル変革」のための投資だ。「外部要因に左右されないビジネスモデルを構築したい。為替による影響と投資を除けば、実質的な営業利益は2000億。中期経営計画のラインからは外れていない」(田中氏)

photophoto 富士通 2016年3月期通期の連結決算見通し

 全社的なビジネスモデル変革については、詳細な内容は明かさなかったものの、塚野氏は「マインドセットから組織全体を変えるようなイメージ。個人的には肥満型から引き締まった筋肉質な組織になるべきだと思っている。単に人員を削減するといった話ではない。事業全体の見直しを通してリソースをシフトしていくことは考えている」と述べた。

 「過去に積み上げてきたものを生かすために、マーケットやユーザーの動向を見つつ、新たなビジネスチャンス、ビジネスモデルを見出していく。これがひいては他社との差別化につながっていく」田中氏は語る。そして今後の成長のため、“グローバル化”やビジネスのスピード向上も取り組むべき課題としながらも、最も重要なのは、クライアントのニーズに合わせたソリューションの提供だという。

photo 富士通 執行役員副社長 田中達也氏

 田中氏は「富士通は高い技術力があるものの、各部門がバラバラの方向に進んできたところがあり、そこは反省すべきだと考えている。富士通が提供できるさまざまな技術を統合し、新たな価値を顧客に提供していける体制を作るのが急務だ」と旧来の“縦割り”体制を見直すことを示唆した。

 2015年度は、田中氏が会社のトップとして舵を切る最初の1年だ。しかし、その道のりは平たんではない。「物足りない数字と言われるのは覚悟しているが、これからぶつかるであろう課題は分かっている。対症療法ではなく、課題の本質を見据えて対処していかなければならない」と田中氏はアピール。すでに経営方針を役員や各部門長には伝えたとのことで、「近日中に改めて、具体的な施策を説明する機会を設ける」(田中氏)という。

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