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本記事は企業実務のコンテンツから一部抜粋・編集して掲載しています。
「周年だからといってもとくにイベントを行わず、記念品を贈ることも廃止するような動きも一部でみられますが、中小企業ではまだ品物を贈る習慣を大切にする傾向が強いようです」
と、多くの企業・団体の周年イベントに対応している株式会社高島屋法人事業部の天野敦氏は言います。
「節目の年にメッセージや感謝の気持ちを改めて伝えたり、社員の一体感を強めるために、記念の品物が果たす役割は大きいといえます」
後に残る記念品としての昔からの定番は、時計(置き時計、懐中時計など)、革製品(名刺入れ、システム手帳など)、ステーショナリー(ボールペン、万年筆など)、食器類(グラス、コーヒーカップなど)、置物(飾り皿、オブジェなど)があります。基本的にはいまもこの傾向は変わっていないそうです。
また、紅白まんじゅうや焼き菓子などの食品類、コーヒーや紅茶の詰め合わせ、ワイン、日本酒などのいわゆる「消えもの」も根強い人気があるようです。
社員のモチベーション向上をコンサルティングし、周年行事のサポート等も手がける株式会社JTBモチベーションズのワーク・モチベーション研究所の菊入みゆき所長は、記念品選びを成功させるコツは「目的をはっきりさせること」とアドバイスします。
菊入氏は、周年行事の開催を通じて実現できることとして、4つの効果があるといいます。
第1は「特別感の演出」です。節目となる年に特別に企業の歴史を振り返り、未来への新たなステップとすることです。
その意味では企業の歩みや理念を印象付けることが重要になるので、長く大切にしてもらえてオリジナリティの高い記念品がふさわしいということになります。この要素を重視するなら、消えものよりも高級感のある、後に残る品物が向いているでしょう。
「例えば革製品なら、型押しで社名やロゴ、あるいは本人の名前などを入れたりできます」
第2に、「祝祭性」があります。社員をはじめとする会社関係者の心に残る、華やかな祝いの場を演出すれば、企業イメージの向上につながります。記念品に豪華なラッピングをほどこしたり、受け取った人をはっとさせるようなアイデアを盛り込むと強く印象に残るでしょう。
社業をイメージさせるものとして、あるタイヤメーカーでは、周年記念パーティーの際にタイヤの形をデザインしたバウムクーヘンをお土産として配り、好評を博したそうです。ワインのラベルをオリジナルデザインにするというのも、人気の高い記念品です。
第3が、「社員の一体感」です。近年は人材の流動性が高まり勤務先への帰属意識が薄れたり、正社員のみならず、契約社員、出向社員や派遣社員など、異なる立場の労働者が同じ現場で働いていたりすることも少なくありません。そうしたなかで、会社の節目の年に同じ品物を受け取ることによって、仲間意識が生まれたり会話のきっかけができます。
第4は、「社員のロイヤリティ(愛社精神)の高揚」です。記念品の贈呈や式典などを通して社員に改めて感謝の気持ちを伝えることで、愛社精神の高まりが期待できます。
例えば、新しいタイプの革製品として最近贈られるようになったのが、会社で使うIDカード用のカードケースです。
「通常のプラスチックのものより、少し高級感のある革製にするだけで愛着がわいてくるものです。そうした日常的に使えるものを、正社員に限らず、会社で働くすべての人に贈ることが職場の一体感を生んだり、愛社精神の向上につながります」(菊入氏)
周年行事は会社の成長と社員の満足という共通の目的を改めて確認し、今後の業務をよりスムーズに進めるためのチャンスにもなり得るのです。
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