「変わらなきゃ」から20年 日産はどう変わったのか?池田直渡「週刊モータージャーナル」(2/4 ページ)

» 2015年06月15日 08時00分 公開
[池田直渡ITmedia]

決算は良好、問題は日本マーケットをどうするか

 2014年の日産自動車の売上高は11兆3752億円で、前年の10兆4825億円から約9000億円の伸張を見せている。営業利益は5896億円で、前年の4984億円から約900億円積み増されている。純利益も4576億円と前年より約680億円増えている。

 トヨタの売上高は約26兆円、営業利益は約2兆3000億円、純利益は約1兆6000億円(関連記事)。両社の数字と並べてみると、路上で見掛ける印象ほどには差がないことが分かる。単純に売り上げ比で見るなら、トヨタのクルマを見掛ける台数の半分弱は日産のクルマを見掛けるという計算になるはずなのだ。しかし、現実にそんなに多くない。

 何故こうもクルマ好きの実感と違うのか。それは販売台数の国別前年比を見るとよく分かる。国別の販売台数を伸張率順に並べると日本だけが激減しているのだ。

順位 前年比 地域
1位 11.7% 欧州
2位 11.0% 北米
3位 0.5% 中国
4位 ▲13.3% 日本

 中国では日本メーカーへの逆風が吹き荒れる中でも何とかプラスを保っているのに対し、日本だけが激減状態にあるのは、明確な理由がある。日産は国内で新型車をほとんど投入しなくなってしまった。2012年からの新型車の投入実績を見てみよう。

発売時期 車種名
2012年4月 シーマ
2012年8月 セレナS-HYBRID(バリエーション)
2012年8月 ノート
2012年10月 ラティオ
2012年12月 シルフィー
2013年6月 デイズ(軽自動車)
2013年12月 エクストレイル
2013年11月 スカイライン
2014年1月 ティアナ
2014年2月 ディズ・ルークス(軽自動車)
2015年4月 エクストレイル・ハイブリッド(バリエーション)
2015年2月 NV100クリッパー(軽自動車・商用兼用車)

 2012年は、セレナのみバリエーション追加で実質4台。2013年は、軽自動車を含む3台。2014年は、軽自動車を含む2台。2015年は、軽自動車とバリエション追加のみ。

 つまり、いわゆる普通車は2013年以降の2年半で、エクストレイル、スカイライン、ティアナの3台しかデビューしていない。いたずらに新車効果ばかり追い求めてモデルチェンジを繰り返すのはどうかと思うが、いくら何でも少なすぎる。これで13%強の売り上げダウンで済んでいることが奇跡である。

日産ギャラリー。横浜の日産グローバル本社のギャラリー。正面はキューブ、右端がマーチ。今やほとんどが小型車となり、販売面でも軽自動車、デイズの影響が大きい。日産は年産100万台が目標だが、そのうち約30万台は軽自動車になっている 日産ギャラリー。横浜の日産グローバル本社のギャラリー。正面はキューブ、右端がマーチ。今やほとんどが小型車となり、販売面でも軽自動車、デイズの影響が大きい。日産は年産100万台が目標だが、そのうち約30万台は軽自動車になっている

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.