弥生は7月7日、小規模法人向けクラウド会計ソフト「弥生会計 オンライン」をリリースした。同分野では新興サービスが先行しているが、スタンドアローン版の実績を強みに、新設法人やこれまで会計ソフトを利用していなかった小規模企業など既存の「弥生」ユーザーと異なる新たな層の獲得を目指す。
「かんたん、やさしい」をコンセプトに、簿記や会計の知識がなくても記帳作業ができるという。銀行明細やクレジットカードの取引履歴をCSVデータなどで取り込む「スマート取引取込」をはじめ、取引データから用途を推測し、学習していく自動仕訳機能、リアルタイムにグラフで業績を把握するレポートなど、クラウドならではの機能を備える。
継続的にアップデートし、10月には法人銀行口座から直接データを取り込む自動取り込み機能や、交通費など複数の取引をまとめて登録するまとめ仕訳機能、ガイドラインにそって進めるだけで完成する決算書作成機能――の3つを追加する予定だ。
12月にはスマートフォンアプリをリリースし、レシートをスキャン/撮影して文字や数字から自動記帳する「OCR取込」を提供。来年3月には「弥生会計」デスクトップアプリとの双方向データ連携(同期)が可能になる。
クライアント向けにはWindows/Macを問わず利用できるHTML5を、クラウド・プラットフォームにはWindows Azureを採用し、法人利用に耐えうる汎用性とセキュリティに留意して開発したという。将来はタブレットへの最適化も検討する。
利用料金は、操作や経理業務全般の相談ができる電話/メールサポート付きのベーシックプランが年額3万円、サポート無しのセルフプランが年額2万6000円(いずれも税別)。無料体験プランは最大2カ月間、全機能を利用できる。新規ユーザー獲得につなげるべく、「起業家応援キャンペーン」を実施し、今年登記した新設法人には有料プランを1年間無料で提供する。
同社のクラウド会計ソフトとしては個人事業主向けの「やよいの白色申告 オンライン」「やよいの青色申告 オンライン」に続く製品で、法人向けとしては初めて。20人以下程度の小規模法人の約8割が会計事務所に記帳や決算/申告作業を委託している現状を受け、記帳作業の負担を減らしつつ、会計情報をリアルタイムに知ることで経営判断に役立てることを目指す。
岡本浩一郎社長は、既存のデスクトップアプリのニーズは依然高いとして、「今回の製品は乗り換えよりも新たなユーザー獲得を主眼に置いたもの」と説明する。クラウド会計ソフトでは「freee」「マネーフォワード」などが先行するが、デスクトップ版「弥生会計」が多くの会計事務所で使われていることや、手厚いサポートなどを強みとして挙げる。
他社サービスに対して価格設定はやや高いが、「デスクトップアプリと比較すると妥当な金額と考えており、これまでのノウハウを踏まえて価格に見合った高い価値をきちんと提供してきたい。プライスリーダーになろうというつもりはない」としている。
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