私たち「男芸者」って呼ばれてました!――知られざるMRの世界(前編):嶋田淑之の「この人に逢いたい!」(3/3 ページ)
MRという職業をご存知だろうか。製薬会社に勤め、医療機関に薬の情報を提供するスペシャリストだ。しかし医師との関係が原因で、独特のイメージを持たれることも多い。MRの存在意義とは? MRの地位向上のために活動する近澤洋平氏に聞いていく。
「勘定より感情を!」現実感を失い漂流するMRたち
「エビデンス中心主義になったこともそれを助長してますね。データを眺めるだけでは患者さんたちの思いや感情は見えませんから。それに加えて、会社からはきついノルマを課せられ、四半期ごとに営業成績を評価されるようになっています。
本来、強烈な使命感をもってMRになった人がほとんどなのに、そうした初心はどこかに吹っ飛んでしまって、ただの営業ロボットのような感じになってしまうんですね。やりがいも感じられず、会社からやれと言われたから仕方なくやっている――そういう人が少なからずいるのは残念なことです」
最近の医師たちのMR評を見ても、「人間味や面白みがなくなった」というのが目につく。「勘定を優先するよりも、感情を回復させることが先決!」そんな印象を受ける。
だが、MRだけが一方的に悪いわけではない。最近、医師の過重労働が大きな社会問題になっているように、医師たちの忙しさは時として常軌を逸している。そんな医師とアポを取るのは至難の技だし、首尾よく会えても、10分話せることは稀だ。いきおい、医師の通りそうな場所で待ち伏せをして、「30秒トーク」「1分トーク」で自社製品名を連呼し、「よろしくお願いします」を連日繰り返すことになる。こうしてMRは、自分の評価対象となる訪問回数やコール(商品説明)回数を稼ぐことになりがちだ。
世間に誤解され、ノルマに追われ、医者とじっくり話すことも、薬によって救われた患者の姿を見ることもできず――。こうした状況に対して、「MR応援団長」を自他共に認める近澤氏は、一体どのような対策を打ち出しているのだろうか?(→後編に続く)
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