まだまだ修行不足、“女を知る”は難しい:郷好文の“うふふ”マーケティング(2/2 ページ)
「マーケティングとは女性を知ること」――筆者のモットーだが、ある女性にこれを打ち砕かれた。「同じ洋服を買うときでも、180度違う目的で買うのよ」という彼女のセリフにひそむ、マーケティングのヒントとは?
大量消費時代のマーケティングは時代遅れ
年齢や性別、購買履歴や所得などの要素から「クラスター分析」を行い「ターゲティング」をして「ポジショニング」(差別化)をするのがマーケティング。そのキモである“クラスター分析”によって、似た人を「集合」にして販促をかける。だがその集合作りの成果は、必ずしもはかばかしくない。消費の過去から未来を占うのはたいがい外れてきた。それで「消費者は生き物ですから」という言い訳をしてきた。
予想が外れるのは、消費がモノ消費から感性消費に変化する中で、マーケティングが従来のマスの大量消費型の思考から脱出できていないからだ。感性消費はモノではなく心、ホンネで消費するのだ。だからこそ消費者のホンネに近づく売り方やメッセージが必要である。“心の性別”という要素は一例だが、それだけでも感性型消費分析の一歩になる。
男っぽい女が好きか、女っぽい女が好きか
ふと思いだしたのは「PUFFY」、アミとユミの女性デュオ。彼女たちが全米でスターになった漫画『Hi Hi PUFFY AMI YUMI』は、実在するロックスターPUFFYをアニメ化し、世界各都市をツアーする話である。ピンクのヘアとワンピースのアミ(大貫亜美さん)は、楽天家でロマンチスト、カワイイもの好き。マトリクス図では右上になる。
一方ユミ(吉村由美さん)はドクロTシャツでパンク丸出し。ハードロッカーのようにチョーカー(首に巻き付けるネックレス)やブレスレットを身に付けて、皮肉屋さんの性格という設定。マトリクスでは左下。
好対照の2人、アミはカワイイ、ユミはクール。さてPUFFYの女性ファンは、どちらを好きか? そんな質問でも心の性別を読み込める。
男性の読者諸君には「このマスのどの女性を好きになるか?」という質問を投げかけたい。筆者は見事にあるマスに片寄っていた。いつも同じターゲティングなのだ。だからいつも同じ轍を踏んできたのか……。
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