天ぷら油をリサイクル――京都・バイオディーゼルバスレポート:神尾寿の時事日想・特別編(2/2 ページ)
家庭や飲食店、ホテルなどから出る廃食用油を精製し、バイオディーゼル燃料とする市バスが京都で運行中だ。「天ぷら油バス」運用の現状について、京都交通局に取材した。
使いやすいバイオディーゼル
このように汎用性が高いため、通常のディーゼル燃料車をバイオディーゼル燃料車に転用したり、逆にバイオディーゼル燃料車をディーゼル燃料利用に戻すといったことも可能だ。唯一、バイオディーゼル燃料車が通常のディーゼル車と異なるところといえば、メンテナンス期間を短くとり、特に燃料フィルターは1年に1回とこまめに変えていることくらいだ。しかし、これも「あくまでトラブル防止を優先して、“念のため”にやっているだけ。必須というわけではない」(京都市交通局)と話す。
「バイオディーゼルのいいところは、(運用に)フレキシビリティがあることです。使い勝手や乗り心地が(ディーゼルを使う)普通のバスと同じというのがメリットですね。給油施設もバス基地内に設置していますが、こちらもバイオディーゼルだからといって特別な改修はしていません。
京都市では天然ガス車両も保有していますが、こちらはバスの構造が(ディーゼル車と)まったく異なりますし、ガスを補充するのに15分くらいかかる、走行距離が短いなど、運用面で従来型のディーゼル車両との違いが大きい。(バス事業での)使いやすさでいったら、バイオディーゼルの方ですね」(京都市交通局)
環境面で有利な廃油再利用。今後の課題はコスト
このようにバイオディーゼル燃料の使い勝手はよく、“廃油再利用”というプロセスは、穀物を燃料に転用するバイオマスエタノール(未利用バイオマス)よりは社会的な負担が小さい。しかしその一方で、効率的かつ環境負荷の小さい廃油回収システムの構築や、廃油精製プラントの設置・運用コストも含めた総合的なコストパフォーマンスの部分で課題があるのも確かだ。
京都のバイオマスディーゼル燃料化事業は、自治体が取り組む環境施策及び実証実験として一定以上の効果を得た。今後の注目は、同様のバイオディーゼル燃料化のプログラムが、民間ビジネスも巻き込んで“採算の合うもの”として成長・拡大していけるかにありそうだ。
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