日本人は“空気”を読み過ぎ?――有給休暇を消化できない理由
エクスペディアの調査によると、有給休暇をすべて消化しているのはドイツが最も多く81%だったが、日本は13%で断トツに低い結果に。欧米に比べ“働き過ぎ”の実態が浮き彫りになったが、なぜ日本人は有給休暇を消化できないのだろうか?
「有給休暇を消化したいけど、仕事が忙しいからなあ」といった理由で、休むことができないビジネスパーソンは多いはず。昔から「日本人は働き過ぎ」と指摘されているが、実際はどの程度、有給休暇を消化しているのだろうか。
日本人が1年間に消化する有給休暇の日数は平均で8日、調査した国(フランス35日、スペイン27日、イタリア27日、ドイツ25日、オランダとオーストリア24日、英国23日、米国13日)の中で最低であることが、エクスペディアの調べで分かった。また有給休暇をすべて消化しているのはドイツが最も多く81%、次いでフランス80%、英国77%、スペイン76%、米国69%、オーストリア59%、イタリア53%、オランダ51%となり、日本はわずか13%と断トツに低い数字となった。
有給休暇を消化できない理由は「仕事が忙しく、休暇を取っている暇がない」が最も多く39.5%、以下「もしもの病気や急用などのために、休暇を残しておきたいから」(34.1%)、「上司や同僚があまり休暇を取っていないため、取りずらい雰囲気だから」(24.0%)と続いた。このほか「上司や同僚が休暇を取ることを快く思っていないように感じる」(14.0%)など、“空気”を読み過ぎているため、有給休暇を消化できない人も多いようだ。
インターネットによる調査で、20〜59歳までの男女有職者(自営業、公務員含む)516人が回答した。調査時期は2008年7月〜8月。
上司が奨励してくれれば休める――45.9%
どのようにすれば有給休暇をもっと消化できるか、と聞いたところ「経営者や上司がもっと有給休暇を取ることを奨励してくれれば取れる」が最も多く45.9%、次いで「自分が取ろうと思えば取れる」(41.9%)、「会社や自分の部署の人手にもう少し余裕があれば取れる」(37.0%)、「休暇中の仕事をほかの人と分担するいい仕組みがあれば取れる」(28.3%)となった。この結果について「有給休暇を取ろうと思えば取れないわけではないが、仕事も忙しく、なんとなく職場の雰囲気で取れない。このため低い有給休暇の消化率になっている」(エクスペディア)
有給休暇を消化できない理由に「上司や同僚があまり休暇を取っていないため、取りずらい雰囲気だから」(24.0%)が上位にランクインしていたが、実際に上司は休んでいるのだろうか。あなたの上司は休暇を取っていますか、と聞いたところ「部下に休みを取るように奨励し、自分たちも休暇を取っている」と「仕事が忙し過ぎて、ほとんど休暇を取っているとは思えない」が27%ずつでトップ。次いで「上司の休みの実態は、部下にはあまり分からない」(12%)、「部下には休みを取るように奨励しているが、自分たちは取っていない」「仕事が人生のすべてのようで、ほとんど休暇を取っていない」(いずれも11%)と、有給休暇を消化していない上司が多いようだ。
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