“UIごとサービス連携”で利用促進。auが狙うカスタムケータイの新市場:神尾寿の時事日想・特別編(2/2 ページ)
携帯電話のコンシューマ市場では契約者総数が1億を超え、今後さらに契約数を伸ばすのは困難な状況だ。ただコンテンツ市場はまだまだ伸びしろがあり、auはカスタムケータイで新たな顧客を獲得していく方針だ。
例えば、サザンケータイでは、メニュー画面がサザンオールスターズの歴代CDジャケットをモチーフにしたデザインに変わるだけでなく、「“すべてのサザンファンのためのオフィシャルポータルサイト” sas-fan.net」へのリンクが用意される。またファイターズケータイでは、待受画面上のオリジナルガジェットに試合速報が配信されるほか、ユーザー限定のファンサイト「ファイターズプレミアムサイト」に簡単にアクセスできるようになっている。さらに今後は、おサイフケータイの機能を使った新サービスの提供も予定されているという。UIを丸ごと変えて、見た目でファン心理をくすぐるだけでなく、ファン向けのサービスにアクセスしやすいようにUIを作り替えることで、コンテンツの利用促進にもつなげているのだ。
auでは以前から「お客様が興味を持つ対象は、ユーザーひとりひとりによって異なる。コンテンツやサービスにアクセスする『窓口』は、お客様の興味ごとに複数あった方がいい」(KDDI取締役執行役員常務の高橋誠氏)と話していた。auのカスタムケータイは、この方針が色濃く反映されており、外観デザインやUIをファン向けに変えるだけでなく、専用のコンテンツやサービスがしっかりと用意されている。さらにメニューやau oneガジェットから、それら専用コンテンツやサービスへ“誰でも・簡単にアクセスできる”ように配慮されているのだ。ユーザーニーズに寄り添う形で、外観デザインからUI、コンテンツサービスまでシームレスにつなげることにより、ファン心理を満足させた上でコンテンツ利用の促進を図っている。
携帯電話のコンシューマ市場では契約者総数が1億の大台を突破しており、今後さらに契約数を伸ばしていくのは困難だ。しかしその一方で、「電話」と「メール」以外のコンテンツサービス市場は、積極的に利用できているユーザー層が全体の3割前後と、まだ多くの伸びしろが残されている。
カスタムケータイは、ターゲットとなるファン層に自らが入らないと、その訴求力や効果についてピンとこない。しかし、auのように「サービス連携」を重視した仕組みを用意し、地道にその対象セグメントを増やしていくと、着実に「データARPU」と「コンテンツARPU」の底上げにつながってくる。auが狙うカスタムケータイの新市場は、今後のコンシューマ市場向けの携帯電話ビジネスにおいて、重要な分野の1つになりそうだ。
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