東大生のボクが、あの会社に注目した理由:東大生の“投資脳”に迫る(4/4 ページ)
株式投資の運用成績と偏差値に関係性はあるのだろうか。もし「関係がある」とすれば、偏差値トップの東大生はどういった考えで投資をしているのだろうか。そこで現役東大生の“投資脳”に迫った。
こうして村上君は7月26日に開かれた勉強会の席で、鳥越製粉を「買い」推奨銘柄に選んだ。そして7月後半には大手製粉会社が第1四半期の業績を発表し、軒並み増益。鳥越製粉も8月7日に決算発表があり、「新製品の開発や製品価格の改定、経費削減などに取り組んだ」(鳥越製粉)ことにより、増収増益という内容だった。
鳥越製粉の株価は7月25日の終値で797円、これに対し村上君は目標株価835円と設定。そして、約1カ月後の8月26日に株価は835円に達した。「実際に投資した金額はわずかなので、もうけは高校生のお小遣いほど」と控えめだが、情報をステレオタイプにうのみにするのではなく、小麦の価格上昇という環境に対し、どういった企業努力をしているのか。こういった点に着目し、分析したことはAgentsの特徴を生かした形だ。
実は予想は外れる方が面白い
最後に「自分の予想が当たったことはうれしいか?」と聞いたところ、意外な言葉がメンバーから聞かれた。「実は予想は外れる方が面白いんですよ」(森田君)と。そして、ほかのメンバーたちも「僕もそうですね」と口をそろえた。
予想は外れる方が、面白い? どういう意味かと尋ねると「株式市場の世界は、みんなと同じことを考えていてはチャンスがないんですよ。まだまだ自分たちが予想できることは、ほかの投資家も同じことを考えている可能性が高い。誰も思いつかない発想で、銘柄を分析することが楽しいんです」(森田君)と語った。
彼らの言葉を聞いて、「謙虚」だと感じる人もいるかもしれない。しかし記者は20歳前後の学生がここまで考えることに対して、「不敵」と感じたのだった。
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