そんなに会社はエライのか? 人間として恥ずかしいことをする輩たち:山崎元の時事日想(2/2 ページ)
会社に「退職願」を提出したことがある人であれば、こんなことを感じたかもしれない。「なぜ『退職願』なのか? 『退職通知』ではダメなのか」と。そもそも会社と社員は対等の立場であるはずだが、退職をする際の手続き1つ見ても、対等ではない関係が……。
人間として「恥ずかしいこと」
しかしことの適否はともかく、退職手続きの高飛車にせよ、副業禁止や社員の勤務外の行為への処罰など、「会社」はあたかも意思と一段高い身分を持った主体のように社員に対して行為する。
筆者は退職手続きの際に、人事部の担当者に「この手続きはおかしくないか。退職通知で十分でしょう」と言ったところ、「申し訳ないが、うちの会社ではこうすることになっている」との返事が返ってきた。だが考えてみると、退職の手続きにしても、副業の禁止にしても、過去のある時点で誰か個人が決めたルールを後の時点で別の個人が変更することなく適用しているに過ぎない。「会社」という仮面をかぶっているが、会社の行為は会社の誰かの意思決定に基づく「個人」の行為であり、会社対社員(個人)と見えている関係は、本来、個人対個人の関係に過ぎない。
そう考えると、会社が社員の副業に“焼き餅”を焼くのもいいことではない。まして、警察に代わって生活にダメージを与える処罰を下すというのは全く行き過ぎだと分かる。会社の威を借りて、こうしたことをしているとすれば、それは人間として「恥ずかしいこと」だろう。
会社という存在を正確に理解しておきたい
筆者はかつて、「会社と個人(社員)は対等だ」と何度か書いたことがあったが、本来は、「会社」は「個人」と対等であるか否かというような観点で対置すべき対象ではないのだ。
評価や処遇に不満のある(真面目な)サラリーマンなどがよく「会社は俺のことをどう思っているのだろう?」とか、「この問題についてウチの会社はどう考えているのか?」などと悩むことがあるが、この問いは人事や評価を決めている個人や、当該の問題に対する実質的な意思決定者「個人」に差し向けられるべきだ。「会社」は個人の約束事の束に名前を付けたものに過ぎない。会社という存在を正確に理解しておきたい。
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