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ますます、つながりますえ。――NTTドコモの京都限定広告を考えるそれゆけ! カナモリさん(2/2 ページ)

「ますます、つながりますえ。」――NTTドコモが京都で展開している広告にはそんな京都ならではの言葉が使われている。携帯電話という全国共通の商品の広告を、あえて地域限定で行う意味について考えてみた。

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京都のはんなり広告とは……

 「ますます、つながりますえ。」

 京都市バスの車内で、交通広告に目が引き寄せられた。携帯のアンテナを模したKYOTOのデザインがユニークだ。もう一方では、地元のパン屋さんを取り上げて紹介していた。このキャンペーンは現在もポケットティッシュの街頭配布などで、息の長い展開を続けているという。

 これが、地場の企業の広告であれば珍しくはないだろう。だが広告主はNTTドコモである。かつて地域会社展開をしていた時代は、各地が競って独自キャラクターによる広告展開を行っていたが、地域会社統合後は広告も全国統一となった。現在は山崎努、成海璃子、堀北真希、松山ケンイチ、堤真一、劇団ひとりといった幅広いスターが活躍するCMを流している。そんなゴージャスな展開をする一方で、地域に根ざした展開を行っているとは何とも意外であった。

 「地産地消」とは「地元で生産されたものを地元で消費する」という意味であり、食料自給率の向上に向けた国の取り組みである。

 京都におけるドコモの広告展開を見た時、「広告の地産地消」という言葉が思い浮かんだ。地産地消で重要なことがあると国は指摘している。それは、活動を通じて生産者と消費者を結びつけ、お互いが「顔の見える、話のできる」関係の中で地域の食料の売買ができ、関連産業も活性化する環境を作ることだという。

 ますます、つながりますえ。

 売られている携帯電話は全国共通のものだ。しかし、地域ならではの言葉で語りかけ、その地の消費者にRelevant(ぴったり)と思わせる展開をしている。「顔の見える、話のできる」関係を構築しようとする意図は、ズバリ正解ではないだろうか。

 情報爆発と言われる今日、広告も含め、大半の情報が消費者に受け止められずに流れ去っていく。そんな中で、いかに「自分にピッタリ」と思わせるか。「地産地消」は、1つのキーワードになるかもしれない。

金森努(かなもり・つとむ)

東洋大学経営法学科卒。大手コールセンターに入社。本当の「顧客の生の声」に触れ、マーケティング・コミュニケーションの世界に魅了されてこの道18年。コンサ ルティング事務所、大手広告代理店ダイレクトマーケティング関連会社を経て、2005年独立起業。青山学院大学経済学部非常勤講師としてベンチャー・マーケティング論も担当。

共著書「CS経営のための電話活用術」(誠文堂新光社)「思考停止企業」(ダ イヤモンド社)。

「日経BizPlus」などのウェブサイト・「販促会議」など雑誌への連載、講演・各メディ アへの出演多数。 一貫してマーケティングにおける「顧客視点」の重要性を説く。


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