コラム
自転車はブルースだ、と忌野清志郎は言った:郷好文の"うふふ"マーケティング(3/3 ページ)
先日亡くなった忌野清志郎氏が「楽しくて、つらくて、かっこいい。憂うつで陽気で踊り出したくなるようなリズム」と語った自転車。街を走る自転車を見ていて、それぞれに特徴があることに気付いた筆者は、自転車乗りを4類型に分けて分析してみた。
彼らのサドルを高く上げよ
さて乗り手の今昔の変化はいかに? かもめは増えたけれど絶対数は少ない。歩道の王様の大幅な増加はヤバいし、ローライダーは全国的な現象だ。ウラハラにタチコギィがぐっと減ったかしら。「どんなに頑張っても低成長社会、日の目を見ることはないさ、がんばるってダルいよな」的なムードまん延と読み解く。
こんなニッポンの姿を観ても、きっと藤田氏ならポジティブに商いを発想するのだろう。“ゆっくり”自転車が増えるなら「マックに自転車ドライブスルー」ということはないだろうが(笑)。私なら若い世代のローライダーに照準を合わせてこう言いたい。
「彼らのサドルを高く上げよ」
低成長社会を憂うつに思う若い世代の増加が問題。ゆるい日本の象徴、ローライダーは1台5000円台の輸入自転車とともに増えてきた。サドルと荷台が同じ高さなので、恋人と2人乗りでもぴったり。ローな関係が長続きする。支出もローなのでマーケティング・ターゲットとしてもローランクだ。
それじゃダメなのだ。彼らがローのままでは日本の成長はない。ハンドル・サドル・ペダルの位置を本来の位置にすれば、自転車は陽気なブルースになる。それを伝えるのが大人の役割だ。忌野氏いわく「底抜けに明るく目的地まで運んでくれるぜ」、それが自転車ブルースなのだ。
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