コラム
パンダキャラ、ゆるキャラが人気の理由:郷好文の“うふふ”マーケティング(4/4 ページ)
企業や地方自治体が展開する、パンダキャラやゆるキャラに癒やされる日本人。しかし、なぜ私たちはそうしたほほえましいキャラクターに癒やされるのだろうか? その理由を考えてみた。
日本人は物語を買う?
デザインビジネスに片足を突っ込んでいる身で感じることがある。日本人は作品を買わずに“作品世界”を買う。作品世界とはクリエイターその人の個性、その物語である。ほかの業界でも同じだ。
音楽業界では音楽性ウンヌンより、見てくれや発言、人間性で買う人は多い。漫才やお笑いタレントも、本業のお笑いが面白くなくても、ウィットに富んだ司会進行ができれば長生きできる。本業よりもその人の物語が買われることは少なくない。
日本人は作品の審美眼は高くないが、キャラクターの審美眼はとても高い。「キャラクターは心の奥に迫ってくるか?」「ウラに物語はありそうか?」「共感できるか?」、それを瞬時に判断する。そのキャラクター審美眼を働かせたことが、共感共有のベースにもなる。キャラクターは同世代のあかしにもなれば(「あのキャラ知ってる?」「知ってる、知ってる」)、非同世代でもズレが楽しめる(「え、知らないの?」「世代が違うよね、ウヒヒ」)。
背負っているものと、背負わせたいものが一致したときに、売れるキャラができる。そこでキャラクターデザイナー諸氏にささやかな助言、「大衆や企業におもねちゃダメ。自分自身の個性や感じたことをキャラに投じないといけない」。なぜならキャラクターが心をつかむかどうかは、そこに反映されるあなた自身の物語にかかっているのだから。
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