なぜ東京オリンピック招致は盛り上がらないのか?:郷好文の“うふふ”マーケティング(3/3 ページ)
10月2日、コペンハーゲンでのIOC総会で決定する2016年夏季オリンピックの開催地。東京も候補地として名乗りを上げているが、筆者は東京の勝ち目は薄く、リオデジャネイロが有力と予想する。その理由とは?
不完全燃焼にオリンピック精神は似合わない
「今さら日本でオリンピック? 今さら東京で? う〜ん……、何か燃えない」。支持する55%もホンネはこんなところだろうか。そこには経済恐慌の影響と、低成長慣れした国民心理がある。
経済恐慌以降、日本を覆いつくす“ひなびた”感じ、あきらめムード、縮みきった夢、成熟しきってしぼんでいく流れ。その日本の首都が東京である。企業は買収・合併でグローバル市場で戦うか、そのままで国内の成熟市場で生き残るかの二択に直面している。個人はそのどちらに乗るにせよ、自分さえ生き残れればいいという自己中心主義が広がる。低速回転かつ不完全燃焼しているのが今の日本だ。
一方、オリンピックの開催の意味とはなにか。
開催都市のあらゆる面をレベルアップさせ、成長軌道に乗せるのがオリンピック。端的な例が北京オリンピックで、共産国家から成長国家への踏み台になった。オリンピックは成長する国家や都市の着火点となる。それは「citius,altius,fortius(より速く、より高く、より強く)」というオリンピック精神と一致する。
「その精神が欠けた国の首都にオリンピック開催は似合わない」――そんなムードが55%という数値として表れたのではないか。明日の東京より、明日のリオの方が何かが生まれそうだ。当の東京都民でさえそう思うのだから、世界の人がどちらに投票するか明白だろう。
都知事は都民に向かって招致アピールをこうすべきだった。
「1964年を思い出そう(読者のほとんどは知らないでしょうが)。戦後の焼け跡から抜け出して、国の成長軌道に乗る着火点が“昭和オリンピック”だった。今日本が、経済恐慌という“焼け跡”から抜け出すためにも、国際国家として再生するためにも、“21世紀TOKYOオリンピック”が必要である」
もう、そうしたとしても遅いかもしれないが(笑)。
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