値の付けどころがシャープでしょ(2/2 ページ)
「目の付けどころがシャープでしょ」という、おなじみのキャッチフレーズ。そのシャープさは、“目”の付けどころだけではなく、新規参入したLED電球の“値”の付けどころにも発揮されている。
シャープ登場以前のLEDマーケット
そもそもLEDが開発されたのは、別に今年に入ってからの話ではない。LED電球そのものはすでに市場に出回っていた。が、ほとんどと言っていいぐらいに売れていなかった。エコな商品として注目は集めていたものの、バカ売れするまでには至っていなかったのだ。
その理由は明らかで、要するに高かったのだ。先発メーカーの東芝が発売していたLED電球の価格が、1つ1万円ぐらいである。たかが電球1個に1万円と言われてしまうと、いくら環境意識が高い人であっても二の足を踏むのは当然だろう。
そこでシャープは次の2つを考えたのではないだろうか。まず現状は絶対的なチャンスであると。つまり照明メーカーとしてブランド力のある東芝がLEDでも先行してはいるが、ユーザーの支持を集めているわけでは決してない。後発にとっては絶好のチャンスである。
シャープの、とてもシャープなプライシング戦略
では、このチャンスをいかに生かすのか。決定的なカギを握るのがプライシングである。現状の1万円が高過ぎるためにユーザーからそっぽを向かれているのは明らかだ。では、いくらにすれば納得してもらえるのか。
出てきた答えは簡単だった。「寿命が白熱電球の40倍なら、価格も40倍が相場でしょ!」。誰が言ったか知らないが、これぞビンゴであった。現状価格1万円の商品に対して、まさに半値八掛け。シャープは4000円というプライスをぶつける。
その結果、先行注文が殺到。同時にシャープは一挙にプライスリーダーのポジションにも躍り出る。これが新たな動きを引き起こした。
まず先行メーカーが価格を下げた。当たり前だ、ほぼ同じ製品を半値八掛けで売られては勝負にならない。こうして価格がそろってきたが、シャープの優位性はまず揺るがないところだ。LEDに関するここ3カ月ほどの報道をみれば、どの記事も「まずシャープが……」といった書き方になっている。相変わらず「目の付けどころがシャープ」なイメージは、否応なく高まっている。
さらに、そうした報道自体がLEDマーケット自体の認知を高める。つまりシャープと先行メーカーの東芝あたりの2社だけでちまちまと競い合っていたのでは、決して届かなかった層までもがLEDに対する好感度をもつようになってきた。
このままマーケットが拡大し、シャープがトップポジションを握り続ければどうなるか。LEDがクリティカルマスに達するために理想的なプライスは2000円ぐらいだという説もある。だとすれば他社が4000円で足並みをそろえ、マーケット認知が十分に高まった時点でシャープは一挙に価格を半分に下げるのではないか。
もちろん、そのための生産工程をきっちりと整備し、いち早く量産体制をつくって採算ラインに乗せた上でだ。もしそうなるなら、さすがに「目の付けどころがシャープでしょ」となるのだが。この先1年ぐらいのLEDマーケットは注目である。(竹林篤実)
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