“寄付付き商品”続々、人気の秘密は(2/2 ページ)
売り上げの一部をNPO法人などに寄付する、という商品が最近続々と発売されている。その背景には、消費者の社会意識の高まりがあるようだ。
寄付マーケティングの意味とは
さて、商品購入に付随したオファー、あるいは、蓄積したポイントの交換対象などに「寄付」を提示する施策をとりあえず、「寄付マーケティング」と呼んでみたいと思います。この寄付マーケティングの「効果」についてですが、大きくは以下の2点があると言えます。
1.販売促進効果
オイシックスの例で分かるように、消費者の購買意欲を後押しすることができる
2.ブランディング効果
社会貢献意識の高い企業であるという好ましいブランドイメージ形成に役立つ
従来、商品購入に付随するオファーとしては、消費者に何らかの景品を直接提供する「クローズド懸賞」が主流でしたが、今どき、オマケ的な安物の景品をもらっても、たいしてうれしくありません。しかも、ブランディング効果は、ほとんどないでしょう。ですから今後は、奇をてらったクローズド懸賞よりも、販売促進とブランディングの一石二鳥が期待できる「社会貢献に関連したオファー」がますます増えていくのではないでしょうか?
もちろん、「寄付」を販売促進のための小手先の手段として、安易に採用するのは止めるべきでしょう。そもそも、企業活動全体との整合性や一貫性に留意する必要があります。社員に対して、「ブラック企業」などと言われてしまうような劣悪な処遇をしている企業が、偉そうに「寄付マーケティング」に取り組んでも、消費者は、その企業の浅はかさをすぐに感じ取ることでしょう。
また、早速始めたはいいが、「さほどの効果がなかったから」「あるいは企業収益が低下してきたから」といった理由であっさり止めてしまうと、かえって消費者の不信を買い、ブランドイメージの低下につながること必至でしょうね。(松尾順)
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