「これは恥辱だ」――環境先進国ドイツはCOP15をどう受け止めたか:松田雅央の時事日想(2/2 ページ)
コペンハーゲンで開催されていたCOP15が先ごろ終了した。2013年以降の“ポスト京都議定書”をめぐり、野心的な目標が提示されたものの、結局は途上国と先進国の対立が解けず不十分な内容に終わった。環境先進国ドイツではこの結果をどう受け止めているのだろうか。
悲観主義に捉われない
ヴェルト紙(全国新聞)は19日の論評で、多国間主義の過度な尊重に警鐘を鳴らしている。全会一致や少数の途上国に振り回され、実効性のある取り決めができなかったことへの反省だ。
例えばスーダン代表は次のように発言している、「この会談は崩壊している。なぜなら先進国が民主主義を信じていないからだ」。130の途上国を代表する形をとってはいるが、この主張は額面通りには受け取れない。スーダンはダルフール紛争で先進国から批判されており、その意趣返しとして意図的に先進国と途上国の隔たりを広げようとしたとも読み取れる。国際会議が本題から外れたところで政治利用され、それが合意の足かせとなる危険性をもっと認識するべきだ。
EUの目標は1990年比20〜30%のCO2排出削減である。COP15の結果とは関係なく、また他国が追随するかどうかの前提条件なしに目標は維持されるはずだ。この数字だけを見れば25%削減を打ち出した日本と同等なのだが「絵に描いたもち」ではなく、実現の見通しを持った数字である点が日本とは大きく異なる。また、産業界を取り込んだ「挙国一致」の取り組みである点も日本との違いだろう。
アンゲラ・メルケル首相(CDU)もCOP15の結果に失望を隠せない。しかしながら首脳会談の当事者としてCOP15への全面的な批判は避け「結果は結果。それ以上でもそれ以下でもない」。失望にとらわれるのは無意味であり、なすべきことをなすという姿勢を示した言葉だと思う。
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