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コラム

「これからはマーケティングだ!」と言う前に(2/2 ページ)

経営者・リーダーというのは、いろいろなことを言って社員に前を向かせて、組織を動かしていかなければなりません。そんな時、よく見かける経営者・リーダーのスローガンは、「これからはマーケティングだ!」です。

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お客さんは自分が何が欲しいか分からない

 たいていの業界では、強力なプロモーション、販売力によっての成長ができなくなってきてから、「これからはマーケティングだ!」と言うようになります。そういう状況になると、市場調査をするようになる理由は、お客さんが求めていることを知るためですね。

 ただ、お客さんは自分が何が欲しいかは直接的には分かりません。写メールがない時代に、「携帯にカメラが付いたらいいと思います」と主張するお客さんがどれだけいたでしょうか?

 お客さんは提案されてみないと、それを本当に欲しいかどうか分からないのです。当然、「今、お客さんが何を求めているか?」を知ることは重要ですし、それにお金をかけることも必要だとは思います。しかし、「今後、お客さんが何を求めるのか?」を考えるために、現状を把握することが必要なんです。予測につながらない情報集めは何の意味もありません。

 「今後、こうなるのではないか? だからこそ、こんな商品をこんな風に訴求していくことがいいのではないか?」という仮説をしっかりと作り出し、可能な限り検証して、市場へと商品を投入していくことが、「これからはマーケティングだ!」と言い始めた時に必要な活動になります。

 こういうことをある程度把握した上で、スタッフに「これからはマーケティングなんだ!」と主張しないと、スタッフは意味のない活動を次から次へと始めます。

 結局、施策に結びつかない分析や顧客情報は、お金の垂れ流し以外の何者でもありません。仮説をしっかりと作り出す能力は、なかなかすぐに強化できるものではありません。売れる営業マンならできるとか、カッチリした管理のできる経営管理スタッフができるわけでもありません。

 しかし、「これからはマーケティングだ!」という号令は、「これからは市場をしっかりと予測して、顧客に価値があるものを仮説として考え出し、提案していく活動をするんだ!」ということを言っているのと同義です。自社のスタッフ、つまり人への教育投資を余儀なくされるようになるのが、「これからはマーケティングだ!」の時代なんですね。

 あなたには、スタッフの考える力に投資するつもりが本当にあるでしょうか? 短期的にもうからなくても教育研修をし続ける気概はあるでしょうか? でなければ、「これからはマーケティングだ!」と言ってみても、一向にうまくいかない状況が未来永劫に続いていってしまうのです。(伊藤達夫)

 →伊藤達夫氏のバックナンバー

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