米国の人事採用に学ぶ“Twitter就活”(2/2 ページ)
SNSを通じて友達と連絡し、ネットで物を買い、YouTubeで映像を見て楽しむ“クラウド化”時代。米国の採用担当者の言葉から、Twitter就活のポイントを探ってみた。
まずは「聞く」ことが大事
Twitter就活テクはさておき、私がまずお勧めしたいことは、Twitterのようなクラウドのツールを活用して見聞を広めることです。昨今、「自分ブランド」などということがよく言われていますが、特に若いころは、「自分が何をやりたいのか」はおろか、「自分が人間としてどうあるべきか」ということさえ分からないことが多くあります。「何を発信するか」ではなく、まず「聞く」ことに重きを置くこと。世の中の人が何を言っているのかに耳を澄まし、人の意見を謙虚に受け止めてみることによって、自分というものがよりクリアに見えてくると思います。
そして、「自分が何をやりたいのか」のフォーカスが定まったなら、自分が学びたいことを発信している人と、物怖じせずどんどんつながっていくことです。自分が就きたい職業や極めたいフィールド、働きたい会社の関係者をフォローしてみます。つぶやきを通じて、自分が志望する会社のカルチャーを知ることも極めて重要です。
ザッポスのように、働く人の価値観と、会社の価値観とのマッチング、つまり「文化適性」に気を配る会社は、就活者を「知る」ための1つの材料として、個々人のソーシャル・メディア活動にも注目しています。今後は、こういった企業が増えてくるでしょうし、裏返して言えば、就活者も、自分を知ってもらうためのツールとして、従来型の履歴書に勝るとも劣らぬ注意を、ソーシャル・メディア活動に注いでいくべきと思います。
最後に、何より忘れてはならないのは、Twitterなどのソーシャル・メディアも、礼節や常識という点では、従来型のコミュニケーション・メディアと変わらないということです。例えば、日々の会話でネガティブ発言が多い人は、対面でもTwitterでも好印象を抱かせないものです。米国の人事関係者に聞くと、ネガティブなつぶやきが多い人は採用不可であるといいます。自分の職場や同僚、あるいは取引先についてネガティブな発言をする傾向があるとみなされるからです。また、Web上の記録は半永久的に残ります。一度放出してしまったら最後、撤回できないのだということを肝に銘じつつ、責任ある発言を心がけるべきだと思います。
企業も個人も「ソーシャル・メディア」というと、何か特別なもののように扱いがちですが、従来のコミュニケーション・メディアにとって代わるものでは決してないと私は思っています。Twitterをやるからといって、人と会って話を聞くことをやめるべきではありませんし、面接で自分をアピールする必要性がなくなるわけでもありません。ただ、Webの恩恵で、個人が不特定多数の人に自分の意見を伝えたり、人とつながったりするスケールとスピードが増幅されたということは大いにあります。この「時代の進化」を味方につけるような、賢い活用をしたいものです。(石塚しのぶ)
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