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NHK朝の連ドラ『ゲゲゲの女房』は敗戦なのか?(2/2 ページ)

NHK朝の連ドラ『ゲゲゲの女房』の第1回目放送の視聴率は14.8%と、歴代最低の視聴率だった『ウェルかめ』をさらに下回る水準でスタートした。しかし、筆者は視聴率低迷の原因は放送時間変更にあると推測、小手先の話題作りは危険と主張する。

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低視聴率は「想定の範囲内」

 さて、松下奈緒さんです。いや、『ゲゲゲの女房』です。

 「実にしっかりとしたドラマになっている」と私は思います。松下奈緒さんの不器用で背の高い(これがドラマのキーワード)未婚女性という設定と、戦後日本の光景は違和感がなく、また水木しげる役の向井理さんも、イケメン俳優ギラギラという感じではなく、無理せず普通な雰囲気を出す演技が上手く、「見合い相手が松下奈緒さんなら誰だって狂喜するよな」的なツッコミをまったく呼ぶことなくドラマに没入させます。父親役の大杉漣さんが、嫁に出す前にこっそり涙を流すシーンは感動しました。

 「昔の」大河ドラマ大好きな私から見ても、十分ひきつけられる力を持つ、よくできたドラマだと思います。

 NHKは小手先の小細工に走ることなく、淡々と、粛々と、「ゲゲゲの女房」を作っていけば良いのではないでしょうか。視聴率不振の原因は、やはり放映時間変更というファクターにあるでしょう。時計代わり、長年の習慣というベネフィットは、NHKが放映時間を変えたから出勤時間を変えることはできないように、大きくマイナスに作用することはあらかじめ予想できたはずです。おそらく、NHKは予想していたと思います。

 つまり、この低視聴率は「想定の範囲内」でしょう。もちろんこれが民放であれば、1回低視聴率をとっただけでプロデューサーは大騒ぎでしょうが、そこはNHK。視聴率縛りのない良さが発揮できるところです。ちなみに放映第1週に比べ、第2週は最高視聴率も1ポイント近く上がったようです。第2週の見合い&嫁入りは、見た視聴者なら次を見ずにはいられない展開でした。

 ネットニュースでわいわい言う層がNHK朝ドラをしっかり見る層と同じでしょうか? マーケティングにおける洞察は、しっかりとした仮説構築とその検証が必要です。

 私は「ゲゲゲの女房」が第2のおしんになるだろうことを、ここに予想いたします。

 ……いや、まあおしんには絶対なれないです。しかし、尻上がりに視聴率はついてくると予想します。朝のライフスタイルが朝ドラには重要なファクターです。ここが変わるのは一朝一夕では不可能です。話題作りで人気歌手を出したり、演技も出来ない若手俳優を急遽(きゅうきょ)起用なんて、敗戦であわてるダメ指揮官みたいなことをしないよう、どこまでNHKが耐えられるか。それに成功はかかっていると言えるでしょう。(増沢隆太)

 →増沢隆太氏のバックナンバー

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